田中たたみ屋編
今回は、日本の伝統的な床材であり、最近また注目されつつある畳作りに挑戦! 今年で創業54年になる西町の『田中たたみ屋』さんのもとへ伺い、三代目・巣立皓太さんにご協力いただきました。 こちらは一日に80枚もの畳を作っているそうですが、それだけでなく先進的な畳も積極的に企画・製造しているたたみ屋さんです。また、現在の畳業界では、機械を使っての製造がほとんどである中、今でも特殊な形の畳などは昔ながらの手作業で作っています。今回は機械での畳作りと、手作業での畳作り、どちらも体験させていただきました。
■機械を使った畳づくり
『田中たたみ屋』さんは、都城ではここにしかないという最新の機械を導入していて、ライン作業のように各工程を経ながら完成させていきます。最初は断熱材と木で作ったボードにゴザを縫いつける工程です。次にゴザの原材料であるイグサを染める際に使った泥がまだついているので、落とします。(そうそうみなさん、畳の匂いって、この泥の匂いなんだそうですよ。知ってましたか?)それから、畳の長辺につけるヘリを上面から縫いつけつつ裁断し、最後に横からヘリを縫いつけて畳が一枚できあがります。ここまで、なんと15分ほど。は、速い! とんでもなく速いです。これらの作業の中で人の手が必要なのは、最後にヘリを縫いつける前に、ヘリを仮止めする時だけ。後はぜーんぶ機械なんですよ。
■手作業での畳づくり
と言っても、素人がいきなり手作業で畳作りができるのか?……そんなに甘くはありません。一枚すべて作るとなるといくら時間があっても足りないということで、ヘリを畳に縫いつける「平ざし縫い」と「返し縫い」を体験しました。15センチほどの大きな針を使いヘリを縫いつけていきます。畳は分厚く堅いので、針を通すのも一筋縄にはいきません。畳の厚さが10センチ弱もあるので、かなりの力が必要。上から通すのはまだマシで、体重をかければ入っていくのですが、下から通す時には、なかなか思ったところに刺せなかったり、畳を突き抜けなかったりで、悪戦苦闘。職人さんなら通常15分程でできる作業を、1時間もかかってしまいました。しかも片面だけで……。職人さんでも一枚完成させるのに3時間はかかるという手縫いの畳。最初に機械での作業を体験していたので、「文明の利器は凄い」なんて思いました。が、しかし手作業だと機械にはできない職人ならではの技で、こだわりの一枚を作り上げることができるのだそうです。
『田中たたみ屋』さんでは毎日たくさんの畳を作っていますが、飛ぶように売れるわけではありません。特に洋室を好む人が増えている今、畳屋さんにとって厳しい時代です。巣立さんは「ただ畳を作って修理しているだけでは、生き残れない。畳のよいところは残しつつ、時代に合わせて進化をしていくことが大事」と話します。実際『田中たたみ屋』さんは、さまざな工夫を凝らして畳の企画開発をしています。例えば、畳の印象を大きく左右するヘリ一つとっても、いろんな場所やシチュエーションに合わせられるよう、渋めのモノからオシャレで可愛いモノまで用意しているんです。「さまざまな選択肢がある中で、お客さんに提案した畳が喜ばれた時、一番うれしい瞬間であり、やりがいです」と話してくれました。
インターネットが普及し、電子メディアが世に溢れている中、紙媒体であるきりしまフォーラムを“どのようにして進化させていくべきか”“今の時代に合っていて、読者の人たちが必要としてくれる媒体とは”そんなことを漠然と考えながらも、企画を立てたり提案したりというのがまだまだ力不足な私。これからも少しずつでも成長し、お客様や読者にとって、よりよい広告・記事を企画提案できるようになりたいと思いました。
今回ご協力いただいたみなさん、ありがとうございました!
TEL 22-4055