トップページ明日への道しるべ > 先輩たちの声 No.4 「学芸員 祝迫 眞澄さん」

明日への道しるべ

明日への道しるべ 先輩たちの声 No.4 「学芸員 祝迫 眞澄さん」 写真

先輩たちの声 No.4

学芸員 祝迫 眞澄さん

 

幼い頃に抱いた目標を達成し、更なる夢の実現を目指している人にスポットを当てるこのコーナー、第4回目は姫城町の都城市立美術館に学芸員として勤務する祝迫眞澄さん

 

国家資格である学芸員は、博物館(美術館・科学館・資料館・歴史館・動物園・天文台等)資料の収集、保管、展示及び調査研究、その他の関連事業を行う専門的職員。美術館の学芸員になって2年目の祝迫さんに話を伺った。


まず、学芸員を目指したきっかけは?

元々小学生の頃からスポーツが得意ではなく、図工が好きだったのですが、中学生の頃、美術館で作品を見る楽しさを知ったのがきっかけです。

そんな時、母親から学芸員という仕事があると聞き、そういう仕事に携われたらいいなと思ったことを覚えています。

 

高校時代は?

地元が鹿児島なので、高校は鹿児島市内の普通科に通いました。部活は美術系ではなく吹奏楽でホルンをやっていました(笑)。それでも美術への関心は薄れることなく、当時好きだったモネやルノワール、フェルメールの画集を買ったりしていましたね。

大学に入ったら実技(創作)の学生が多い環境で学びたいと思っていたので、芸術大学へ進学したかったのですが、一回目の受験では目指す大学に合格出来ず、一年間予備校に通いました。私の場合、実技がメインではなかったので、筆記試験に備えて一般的な予備校に通い、夏と冬に美術専門の予備校で集中講義を受けるといった一年間でした。実技を主とする方にとって一浪、二浪は珍しいことではないと思いますが、私自身は家庭の経済的な面も考えると、予備校生活を何年も送ることは出来ませんし、出来れば国公立の大学に行きたいと思っていました。

 

そして東京藝術大学に進学、夢に一歩近づいたわけですね?

そうですね。大学では美術史を専攻しました。

私の学科には学芸員になりたいという学生が多かったので、環境的にも良かったと思います。学芸員の資格は在学中に取得したのですが、就職活動は簡単ではありませんでした。

そもそも学芸員の募集自体が少ないので、全国の募集情報を調べて応募する必要がありました。そんな中、たまたま都城市が学芸員の募集をしているのを見かけたので、意気込んで受験しました。幸いにも何とか合格し、今に至っています(笑)。

 

学芸員になってからは?

収集、保管、展示、調査研究をしながら、展覧会の企画・運営を行っています。美術館(博物館)の規模によって業務の内容は異なると思いますが、地方の美術館の場合は人員に限りがあるので、前述以外のあらゆる業務も少人数で行うことになります。

私はまだまだ勉強中の身ですが、大先輩である原田さん(同美術館・学芸員)がいろんな仕事をこなしている姿を見ていると頼もしくもあり、大変だなぁと感じる事もありますね(笑)。

でも、来場された方に作品の案内をしたり、まだあまり知られていない作品を紹介することで、お客様と作品の橋渡しが出来るこの仕事にやりがいを感じますし、一人でも多くの方が作品に興味を持ってもらえるとうれしいです。

 

今後について

この仕事に就く前はフェルメール等が好きでしたが、今は個人的好みだけでなく、良い作品をどのように伝え後世に繋げていくべきかといった使命感みたいなものも感じながら仕事に取り組んでいます。またまだ覚える事が多く、目の前の仕事をこなしていくことで精一杯ですが、一生懸命頑張っていこうと思います。

 

ありがとうございました。

 

 

あとがき

取材当日は同美術館の学芸員である原田正俊さんにも同席していただいた。祝迫さんからすると大先輩の学芸員である。

本文中では紹介出来なかったが、原田さんからは山田新一、山内多門をはじめとする郷土の画家に関する話を聞かせていただいた。

また、「鹿児島、都城は元々美術に対する意識が高い地域だと思っています。日本の洋画発展に寄与した黒田清輝は島津・薩摩の出身。藤島武二、和田英作、海老原喜之助等もそうです。昨今、そういう意識が薄くなってしまったように感じることもありますが、美術は地域の特色の一つであると思っています。美術をもっと身近なものとして馴染んでもらえたらうれしいですね」と話してくれた。

私自身あまり美術に詳しくないが、取材後モネやルノワール、フェルメールに山田新一を調べてみた。なるほど確かに良い作品たちだ。素人ながら、それらの良さが少し分かったような気がして良い気分になった。

 

(取材協力) 都城市立美術館
都城市姫城町7-18 TEL.0986-25-1447

開館時間/9時〜17時 (入館は16時30分まで)

休館日/月曜日 ※祝日・振替休日の場合は翌日が休館
※展示替え等のために臨時休館する場合あり

 

◇◇◇

都城市立美術館の行事

夏休み企画

〈入門〉アートの疑問 「空間さんぽ」

期間/〜2014年8月31日(日) ※月曜日休館

時間/9時〜17時 (入館は16時30分まで)

入館料/無料

出品数/油絵、日本画、版画、彫刻、インスタレーション等約50点

関連事業/担当学芸員によるギャラリートーク

2014年8月10日(日) 14時〜
参加無料・予約不要

その他/「灯ろう絵」を描くワークショップを開催中

会期中の毎週土曜日 14時〜

参加無料・予約不要

 

 

今後の主な予定

特別展 「鱸利彦 生誕120年展」

期間/2014年11月1日(土)〜2014年12月14日(日)

入館料/
一般……800円 (600円)
高大生…600円 (400円)
小中生以下…無料

※( )内は前売り料金