ジモトのことをもっと知ろう

第10回【新燃岳噴火】

ジモトのことをもっと知ろう【第10回】イメージ1
10月11日午前5時34分ごろ、宮崎と鹿児島の県境にある霧島連山・新燃岳が約6年ぶりに噴火しました。2011年9月7日の噴火を最後に落ち着きを取り戻したかのように見えましたが、またしても噴火。このニュースを耳にして、誰もが不安を抱き、今後の動向を心配しながら見守っていると思います。本号では今回の新燃岳噴火の状況に加え、6年前の噴火時の様子を振り返ります。今後に向けて備える上での参考にしてもらえたらと思います。

6年ぶりの新燃岳噴火噴煙は高さ2300mまで


気象庁によると、最初の噴火は、噴煙が火口から700mまで上がったといいます。そして、今後さらに活発になる恐れがあるとして、噴火警戒レベルは2(火口周辺規制)から3(入山規制)へ引き上げられました。
12日には火口からの噴煙の高さが最大2000mに。13日午後になると、気象庁から連続噴火が停止したとみられると発表されましたが、14日になり再び噴火。火口から2300mまで上昇しました。その後も依然として、活発な火山活動が続いている状況で、噴火は当面続くと言われています。降灰の影響を心配する声は多く、前回の時のように、日常生活に支障をきたすのではないか、また地元農家は農畜産物への被害を大いに心配している様子です。

「フォーラム」で振り返る 新燃岳噴火 その1


「きりしまフォーラム」では、2011年1月27日に、前回最初の噴火が確認されてから約2カ月後、4月号の中で「新燃岳噴火に関する報告書」としてレポートしています。その報告書から、まずは前回の噴火当初の様子を振り返ってみたいと思います。
約6年前の1月27日(木)15時41分、新燃岳は上空2500mを超える噴煙を上げ、52年ぶりとなる爆発的噴火を起こしました。
前日26日から断続的な噴火を続けていて、同日15時過ぎごろには、都城市内のあたり一面が灰色に染まるほどの降灰に見舞われました。この未曾有の光景を目の当たりにした住民達は誰もが不安を抱きました。
そして、当時この異常事態によって全国の報道関係者が都城市及びその周辺地域を訪れ、新燃岳噴火とそれに伴う出来事を連日ニュースで取り上げました。これにより、火山噴火による数々の脅威や凄惨な様子が地元の人達だけでなく、全国に知れ渡ることとなりました、とあります。

「フォーラム」で振り返る 新燃岳噴火 その2


次に、噴火してからの経緯はどうだったのでしょうか。 宮崎空港の一時封鎖や高速道路の通行止め、鉄道の運転見合わせなど、交通機関にも影響を及ぼしました。また、新燃岳近くの小中学校の臨時休校、火山灰による農作物収穫出荷の妨げ、相次ぐイベント中止や宿泊客の予約キャンセルなど、とりわけ地域経済への影響は計り知れないものがあったようです。
そして、最初の噴火から1カ月、幾分か小康状態に入ったかと思われましたが、3月1日には13回目となる爆発的噴火、同13日にも約4000mにも上る噴煙を伴った中規模の噴火があったとあります。9月7日の噴火を最後に、前回の噴火は終息を迎えましたが、半年近くにわたって地元住民に多大な影響を及ぼし続けました。

火山灰被害に便乗した悪徳商法も出現


当時、火山灰被害に悩まされている人が少なくない中、そこにつけ込んで悪徳商法をはたらく人も出現しました。中でも高齢者を狙った事例が多発。例えば、火山灰掃除や布団の洗濯を装った訪問販売、屋根の火山灰おろしの作業などにおいて、トラブルが生じていたようです。
そうした被害は少なくなく、本誌内で読者コメントを掲載する連載ページ「盆人俱楽部」内でも、そのことについてふれるコメントが。「新燃岳噴火による降灰除去の悪質な商法をする人や大震災で盗難をする人など、みんなが苦しい時に悪いことをする人の気持ちが分からず、すごく腹が立っています」と。
こうした悪徳商法の被害に遭わないことを願いたいですが、余裕のない状況下では的確な判断が下せなくなるものです。万が一の時に、被害に遭わないためにも心に留めておくべきかもしれません。

人との繋がりに支えられて厳しい局面を乗り越える


前回噴火した後に発刊された3月号では、読者アンケートで「新燃岳噴火」についてのコメントが数多く寄せられました。
「毎日火山灰に悩まされていますが、近所の方々と団結して道路の掃除をしたり、遠方で暮らす友達から久しぶりにメールを頂いたりと、灰により人との繋がりや大切さ、人の優しさに気づきました」。
こうした状況下でも、心温まるエピソードも寄せられていました。やはり、いざという時には近所の人達をはじめ、人と小まめに情報交換したり、助け合ったりすることが非常に大切になります。

終息へ向かうことを願いつつ万が一のために備えを


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今回の噴火を受け、本誌10月号の読者アンケートでも、「新燃岳の火山灰が心配です」「降灰している地域の方に影響が出ていないか気になります」とのコメントがたくさん寄せられました。前回の噴火を目の当たりにしておらず、心配している様子のコメントもありました。
気象庁によれば、今後、多量のマグマが新燃岳直下へ供給されれば、規模の大きな噴火が発生する可能性もあるようですが、火山活動の予測は難しいと言われています。
11年前の噴火により防災意識は高まったと思われますが、終息へ向かうことを願いつつ、万が一の時に的確な行動ができるよう備えてもらいたいと思います。

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