No.5 写真があったから今がある
スタジオZERO 福盛 俊幸さん
写真は、僕にとって「言葉」です―――こう話すのは、スタジオZERO(吉尾町766番地/TEL:0986-47-1497)の福盛俊幸さん。
初めてカメラを手にしたのは、14歳の時。下校途中に見かけるかわせみの美しさに、写真を撮りたいと思ったことがきっかけだった。高校入学後、次第に写真へ没頭。スナップから風景、何でも日記のように撮り続けた。「色々と壁にぶつかり鬱積していた自分を、写真で表現し、発散させたかったんです」と振り返る。この頃から、漠然と写真で食べていけたらと考えていた。
大学卒業後は、スタジオに入り写真家のアシスタントに。しかし、二年ほどで挫折。その後はアルバイトをしながら、写真を撮り続けた。「あの頃は、考えも甘かったし、本気度が足りなかった。カメラマンではなく写真家になって、それで食べていきたいと思っていましたから」と苦笑い。
28歳で故郷の鹿児島へ戻ると、ターニングポイントとなる2つの出会いがあった。まず、憧れていたカヌーイストで作家の野田知佑さんとの偶然の出会い。思い切って声をかけた福盛さんを、飲み会に誘ってくれた。「その時の会話が、煮え切らない自分を吹っ切らせてくれました。もう一度写真をやろうと決意した時でした」と話す。さらに、写真を仕事としている高校時代の友人との再会。「刺激も受けたし、今に繋がる仕事も紹介してくれ、本当に感謝しています。今でも写真の話で盛り上がります」と、その付き合いは今でも続いている。
「回り道ばかりしたけれど、今が一番充実しています。撮影する空間を大切に、お客様に楽しい、良かったと喜んでもらえることが、一番の幸せです」と話す福盛さんの顔は、写真への情熱で満ち溢れていた。(エタン)