「介護が必要になったら、まずどうすればいいのか」─。読者の皆さんにアンケートを行った中で、一番多かったのがこの質問です。そこで、今回は介護が必要となった時、まず相談する窓口のひとつである「地域包括支援センター」を訪れ、社会福祉士の細野伸一さんにお話を聞きました。
─まず、「地域包括支援センター」がどういった施設なのか、教えてもらえますか。
高齢者の皆さんが日々の暮らしを安心して過ごせるように、介護はもちろん、医療や福祉など、さまざまなご相談をお受けしています。社会福祉士と保健師、主任ケアマネージャーが在籍しており、各分野に通じた職員が中心になって対応させていただいています。ご相談内容は多岐にわたりますから、各種介護施設や公民館、警察などと連携を取りながら、高齢者お一人おひとりにとって最適なアドバイスやご提案をしています。介護が必要になった場合は、直接介護施設に訪れてもいいですが、「どの施設に行けばいいかわからない」という方もおられるでしょう。そうした方は、地域包括支援センターにお尋ねください。
─高齢者の方が何かしらお悩みや困りごとがある場合、まず「地域包括支援センター」に尋ねればいいんですね。
ええ。私共が担当している「祝吉・沖水地区」を含めて、都城には市内に7箇所あります。「どこにあるのか分からない」という方はまず、役所の介護保険課に尋ねれば、お住まいの地域にある地域包括支援センターを紹介してくれるでしょう。地域包括支援センターは基本的に、自宅に訪問してご相談をお受けします。ご家族だけで来所されることもありますが、私共はご本人と直接お会いし、お住まいの住環境を拝見した上で、最適なご提案をしたいですから。それに、高齢者の方が直接訪問するのは負担が大きいですしね。
─訪問していただけるのは嬉しいですね。
他にも、「権利擁護業務」というものも私共の大切な役割です。最近、高齢者が虐待や詐欺被害に遭われたというニュースもよく目にしますよね。私共は役所や警察署、消費者生活センターなどとも密に連携を取り、そうしたトラブルの防止や早期対応にも努めています。認知症の方には成年後見制度の活用、その他にも緊急通報の設置やお弁当の宅配サービスなどについてもご相談いただけます。
─介護の要・不要にかかわらず、高齢者にとって心強いサポートをされていると?
そして何より、地域包括支援センターにとっての一番の役割は「介護予防」です。まだ介護が必要でなくとも、いずれ介護が必要になりそうな高齢者の方に、介護予防に向けたさまざまな支援をして、健康寿命を延ばし、自立した生活を送っていただけるようにしているのです。たとえば、介護予防についての普及・啓発活動や講演や各種教室の紹介などを行っています。
─「フォーラム」のアンケートでは介護にかかる費用について不安を感じていらっしゃる方も多かったです。予防に取り組んでいれば、介護費用の負担も抑えられますね。講演や教室などはどこで受けられるのでしょう。
主に各地域にある公民館が催しています。加入・未加入を問わず参加できます。ただ、加入していないと参加するのは気が引けるという方もいます。また、暮らしている地域ではやっていなくて、他の地域でやっている場合もあります。いずれの場合も、地域包括支援センターに相談してもらえればと思います。私共は公民館の館長ともつながりがありますので、間に立って相談することも可能ですから。
─地域包括支援センターとつながっているだけで、元気に暮らせる情報やサポートがいっぱい得られそうですね。
もし、つながりがあれば、介護が必要となった時や、万が一転んでケガをしたという時でもすぐに私共に連絡を入れて最適な提案を受けることができるので、安心です。最近はまだ元気なうちから、いろいろと情報収集しようという意識をお持ちの方が増えてきているので、よい傾向だと感じます。何か悩みやお困りごとがある高齢者の方やご家族には、気軽にお電話していただきたいですね!