お菓子の南香編
今回、職業体験に伺ったのは、明治34年創業、100年以上の歴史を持つお菓子屋『お菓子の南香』さんです。今回は、三代目社長の遠武弘蔵さんに教えて頂きながら和菓子作りを体験しました。
【1】容器に詰める
南香さんの厨房は、洋菓子班と和菓子班に分かれています。一日に三~四百個売れるという「島津荘園」は、栗きんとんに抹茶を混ぜたものをかるかんで包んだお菓子。これを四角い容器に入れていきます。手作りの為、少しずつ形が違っています。形を崩さないように容器に入れるには少しコツが必要で、最初はなかなか上手に出来ませんでした。ただ、最後の方は社長程のスピードではないにしろ、上手く出来るようになりました。
【2】梱包作業
次に体験したのは梱包作業です。大半のお菓子は専用の機械を使って梱包します。ベルトコンベアに乗せる側と、梱包されたものを受け取る側に分かれて作業を行います。まずは受け取り側を行いました。ベルトコンベアから流れてきた商品を「ちゃんと脱酸素剤が入っているか」「ちゃんと封はされているか」等のチェックをしながら箱に詰めていきます。重要な作業ですが、この作業は難なくクリア。そして次はベルトコンベアに乗せる側を体験。「乗せるだけの作業なら簡単に出来そうだ」と、最初は思っていました。ところが、ヘタに乗せればこぼれてしまったり、転がってしまったりと、これがなかなか難しい。私の焦りなど知る由もなく、一定の速度で進むベルトについていけず…。乗せる向きを間違えてしまっていたのです! すぐに隣のスタッフの方が気付いてくださり、再包装することが出来たので、何とかことなきを得ました。
【3】栗きんとん
次に、栗きんとんを決まった重さに分けていく作業を体験しました。栗きんとんは一個が26g。大きな塊から手でちぎって量りに乗せ、重さを合わせていきます。ここまで苦戦しながらやってきたのですが、なぜかこの作業は上手く出来、ちぎる栗きんとんはどれも26g。この時ばかりは自分の才能を感じました。少し残念なのは、この作業はほとんど私一人に任されていたので、誰にも気付いてもらえなかったことです。ちぎり終わると、次は包装です。形の整えられた栗きんとんを、薄い紙を使って包み、口を縛っていきます。形が崩れないようにあまり力を入れずに包んでいくのですが、加減が難しくて苦戦。なかなかコツも掴めないままに終わってしまいました。もう少しでコツを掴めそうなところだっただけに、ちょっと消化不良…。
【4】栗の渋皮剥き
最後に体験させて頂いたのは、栗の渋皮を剥く作業。栗の季節は9月~10月。南香さんには、この時期に都城産の栗が大量に運び込まれます。その栗を一つひとつ丁寧に剥いていくのです。
水にさらされた固いままの栗を、一個ずつ包丁で剥いていきます。普段、包丁なんて使わない私にとっては、かなりレベルの高い作業。包丁で指を切らないようにゴム手袋を貸して頂き、作業を開始。慣れない作業に何度も指を切りそうになりながら、力を込めて剥いていきます。栗は想像以上に硬く、手の筋のいたるところが痛くなり、その日一日、手がプルプルと震えていました。
『お菓子の南香』さんでは、手作りと都城の食材にこだわっており、「お客様に都城の食材を使った美味しいお菓子を食べてもらいたい。その為なら手間は惜しまない」「ただ美味しいだけじゃなく、地元の人と生産者の橋渡しをするぞ」─そんな気持ちが垣間見えました。私も、地域密着情報誌を通して読者の皆さんと都城をつなぐことが出来る人間として、その本気を見習いたいと思える体験でした。
今回ご協力頂いた皆さん、ありがとうございました!
TEL. 22-4670
※「きりしまフォーラム2016年10月号」P3・24もご覧ください