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特集「「憧れはハワイのパイプライン」 JPBA公認プロボディボーダー 加治 賢和さん」

都城市出身の加治 賢和さん

宮崎はサーフィン、ボディボードのメッカ。県内外から多くのサーファーが集まり、木崎浜海岸では毎年大きな大会も開催される。今回紹介する加治賢和さんは今年6月、JPBA(※1)第2戦ムラサキカップで4位に入賞し、公認プロになった若干20歳のボディボード選手である。

 

加治さんがボディボードを初めて体験したのは小学4年生の頃。父親の知人に当時のオーシャンドームで行われていた早朝スクールに連れて行ってもらった。波に乗り、まっすぐすすめることがとにかく楽しく、それ以来ボディボードにのめり込み、毎週日曜はスクールに通うようになった。

 

海デビューは中学生になってから。毎週土・日曜の朝、父親の運転する車で木崎浜海岸へ連れて行ってもらい、父親は仕事のため都城へ。加治さんは一日中波に乗り、バスで帰る、という休日を送っていた。

 

サーフショップ社長の勧めで中学1年生の時、アマチュアの大会へ初出場。そして中学2年生の時には九州大会で初優勝するほどの腕前に。「初めての大会は始まる前からずっと緊張していた。今でも毎回、緊張はするけど」と苦笑い。やがて九州大会で4連覇という偉業を成し遂げる。 

 

アマチュアの大会で勝つようになり「プロになれたら」と考え始めた。

 

プロには一般プロと公認プロがあり、公認プロになるためには「テストを受けて資格をとる」、「賞金獲得実績で公認プロになるか連盟から打診される」といった2つの方法があるそうだ。加治さんの場合は後者。これまでの実績が認められ、今年6月に行われた大会の4位入賞の際、公認プロになった。現在、JPBA公認プロは約50人、一般プロも含めると約70人。

 

プロを目指した理由は「かっこいいから」。実に単純明快な答えだが、やはりプロという響きは誰もが憧れる。

 

アマチュアでもスポンサーがつく場合があるが、賞金は受け取れず、物品受給。一方、プロはわずかながら給料も貰え、賞金も受け取ることができる。

 

「賞金で食べていってくれたらいいのですが」と取材中、ラーメン店ちゃあるす豚を営む父親の加治和彦さんに笑顔で突っこまれる。というのも、プロになってもアマチュア同様、大会出場にはエントリー費や遠征費が相当かかる。実は実家のラーメン店も加治さんの大事なスポンサー。加治さんにとって両親は一番の理解者でもある。

 

実力もさることながら、「ボディボードを続けてこられたのは周囲の理解と協力があってこそ。自分は環境に恵まれている」と周囲へ感謝の気持ちも忘れない。

 

プロ転身後の意識の変化は特になく「プロになって間もないため、理想像もできていない」と現在模索中。尊敬する人はサーフショップ ニューウェーブ店長のJPBA公認プロ、池田雄一選手(35)。

 

今までと変わらず、平日週5日、練習拠点の木崎浜海岸へ通っている。お気に入りのスポットは木崎浜海岸の先にあるパブリック。

 

現在は、9月5、6日、東京の新島で開催のJPBA第3戦 新島アイランドカップに向けて大技を練習中。従来の技に加え、オリジナルの技が次々と出てくるため、その技をいかに自分のものにして大技を決められるか──。

 

大会では15分間に8本の波にしか乗ることができない。その内、ベストの2本の合計ポイントで順位が決まるというルール。限られた時間の中で、いかにいいライディングをして高得点を叩き出すかが上位入賞のカギとなる。

 

10月10、11日にはJPBA第4戦 木崎浜クリーンビーチカップが宮崎市の木崎浜海岸で開催。加治選手もエントリーを予定している。

 

「ボディボードは誰でも簡単に始められるスポーツで、宮崎はコンスタントにいい波がくる最高の環境。メジャーなスポーツになってくれたらうれしい。応援してください。」と加治選手。スポンサーも募っている。

 

10月の大会は地元開催で盛り上がること間違いなし。みんなで加治選手を応援しよう。(順)

 

 

プロフィール…加治 賢和(かじ よしかず)。1988年8月10日生まれ、都城市出身。身長170cm、体重57kg。ボディボード歴12年。JPBA公認プロ。2009年JPBAランキング7位(7月現在)。

 

全国での主な実績

・2007年 「全日本級別選手権大会 1st、2ndクラス」 優勝

・2007年 「全日本選手権大会」 3位

・2007年 「NISSAN X-TRAIL ALL Japan Surfing Grand Champion Games」 準優勝

・2007年 日本サーフィン連盟年間最終ランキング 2位

・2008年 「全日本級別選手権大会 1st、2ndクラス」 準優勝

・2008年 世界選手権出場(ポルトガル) 13位

・2009年 JPBA第2戦 ムラサキカップ 4位入賞 公認プロに

※1 JPBAとは(JAPAN PROFESSIONAL BODYBOARDING ASSOCIATION ─ 日本プロフェッショナルボディボーディング連盟)の略称で、日本でプロフェッショナルボディボーダーを公認する唯一の団体。