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特集「仏前で夫婦の誓い、御先祖様へ報告……仏前結婚式の魅力」

みなさんはお寺で結婚式ができるってご存知ですか? お寺は仏様を祀っていることから御先祖供養などのイメージがありますが、本来は神社などと同じ信仰の場所。七五三や初寺詣り(神社でいうお宮参り)などの慶事も行われ、もちろん、結婚式だってできるんです。

 

しかし、キリスト式、神前式、人前式が一般的とされている中、お寺での仏前結婚式はわずか1%ほど。そういえば、「周りにお寺で結婚式をした」という方は少ない…いや、聞いたことがない! そこで今回、仏前結婚式をされた穗滿一成さん(26)、亜弥さん(31)に話を伺いました。

 

「仏前で夫婦の誓い、御先祖様へ報告……仏前結婚式の魅力」 イメージ1まず気になるのはお二人が仏前結婚式を選んだ理由。それは、亜弥さんのお母様の実家がお寺ということで、亜弥さんは仏教系の幼稚園に通い、七五三もお寺…と、幼い頃からお寺には縁があったそうです。また、亜弥さんの両親も仏前結婚式であったことや、結婚式はシンプルに親族だけでしたい、という思いから、自然と仏前結婚式を選んだとのこと。

 

不安もあったそうですが、亜弥さんのいとこで錦晃寺の住職、宮原信晃さんの勧めが決め手になったとか。

 

一成さんとその御両親は仏前結婚式の話を聞いた際、「お寺で結婚式!?」と驚いたそうですが、「御先祖様に結婚を報告する」という趣旨に賛同してくれ、早速準備を始めました──。

 

お寺の本堂には通常白のろうそくですが、結婚式は慶事用の赤のろうそくを使用します。本堂の装花はいつもより少し華やかにし、BGMは雅楽、そして毛氈(赤いじゅうたん)を敷いて出来上がり。式次第や進行台本も住職と相談しながら自分たちで準備したそうです。

 

「あまり仏前結婚式をする人がいないため、手探り状態で準備が大変でしたが、人と違うことをする、というワクワク感がありました」と二人は振り返ります。

 

そして挙式当日の5月4日。白地の紋付袴の一成さんと洋髪にブルーと黒の色引き振袖姿の亜弥さんの入道です。

 

 

【挙式々次第】

 

一、行事鐘(開始の鐘を鳴らします)

 

二、親族・参列者入道場

 

三、新郎新婦入道場

 

四、司婚者(住職)入道場

 

五、勤行(住職がお祝いのお経を読み上げます)

 

六、司婚の言葉・誓いの言葉(司婚者が、新郎新婦に対し、「結婚の誓いを求める」と促し、新郎が読み上げます)

 

七、記念念珠授与・指輪交換(お祝い用の念珠を司婚者から受け取ります。その後、指輪の交換をします。念珠は本来、代々受け継がれるものでもあるため新しい所帯をもつにあたり、代々続くようにという意味合いで念珠が授与されます。)

 

八、新郎新婦焼香(新郎、新婦の順に焼香。焼香は自らを清めるもの。そして心身共に落ち着かせ、心からお敬いする仏様に接します。)

 

九、新郎新婦式杯(三々九度のことです。今回の場合は新郎新婦だけですが、参列者全員で固めの儀式として祝いの酒を飲む場合もあるようです。)

 

十、司婚者祝辞(「この結婚は、偶然ではなく必然である。定められたご縁がこの結婚をもたらした」というお祝いの言葉を頂きました。)

 

十一、退道(退場のことです)

 

 

「仏前で夫婦の誓い、御先祖様へ報告……仏前結婚式の魅力」 イメージ2式は20分ほどで終了。参列した親族の方も「仏前結婚式は初めて」という人がほとんどでしたが、「心のこもったいい結婚式だった」と厳かな中にも手づくり感あふれる和やかな結婚式となったようです。そして「亡くなった祖父母に仏前で花嫁姿を見せたかった」という亜弥さんの優しい思いが参列者のみなさんにも届いた感慨深い一日となりました。

 

「基本的なことは守りつつ、あとは好きなようにさせてもらい、大変さと楽しさと両方味わえました」と式を終えて満足感でいっぱいのお二人でした。

 

親族だけで小さな結婚式がしたい、御先祖様に結婚を報告したいなどという方にはぜひおすすめしたい仏前結婚式。費用も一般的な結婚式に比べ、かなりリーズナブル。今回取材にご協力頂いた錦晃寺でも相談に乗ってくださるそうなので、気になる方はぜひお問合せください。(順)

 

 

■取材協力/錦晃寺

   都城市千町4940-2 電話/22-0709