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特集「都城でも被害が発生 その振り込み、本当に大丈夫?」

■他人事ではありません

 

ご存知の通り、振り込め詐欺は被害者の心理を逆手に取った悪質な犯罪。携帯電話やハガキ、インターネット等を使い、色々な手口で現金を騙し取る詐欺のことだ。

 

その被害は依然として全国で多発、平成20年1月から8月の認知件数は1万5301件、被害総額は約214億円に上る。また、暴力団の資金源ともなっており、毎日1億円近い被害が発生している。

 

これを読んでいる読者の多くは「まさか自分が」「私は大丈夫」と思われるだろうが、実は、被害者のほとんどが被害に遭うまで「他人事だと思っていた」と話している。

 

実際のところ、宮崎県都城警察署管内でも多数の被害が発生しており、誰もが被害者になる可能性をはらんでいる。ではどうすれば?

 

被害者にならないためにはまず「相手(手口)を知ること」が大事だ。そこで今回は代表的な振り込め詐欺の形態、都城警察署管内の被害状況と事案、防止策を紹介する。

 

どれだけ知ってる?代表的な振り込め詐欺

 

■ご存知「オレオレ詐欺」

 

電話で「オレよ、オレよ」と言って家族になりすまし、交通事故を起こして示談金がいる、不倫をして慰謝料を請求された、会社の金を使い込んだのがバレて返済しなければならない等と言って、現金口座等に振り込ませて騙し取る。前日あたりに息子や孫と名乗り「携帯の番号が変わった」と予告電話があることも。これは犯行予告と思うこと。

 

中には、複数の人が登場する劇団型もあり、家族、警察官、弁護士、関係人等を装ってストーリーを展開し、不安に陥れて騙す事案もある。

 

※被害者の約6割は60歳以上の女性。高齢者や女性が被害に遭いやすい。

 

 

■心あたりがスキになる? 「架空請求詐欺」

 

ハガキや電子メール、時には電話を使い、アダルトサイトなど有料サイトの使用料金に未払いがあるなどでっちあげ、現金を預金口座等に振り込ませる。

 

※男女とも被害者の3割は30歳代以下だが、年齢、性別に関係なく被害に遭っている。

 

 

■うまい話には裏がある? 「融資保証金詐欺」

 

雑誌の広告やダイレクトメール等により、実際には融資しないのにうまい話を持ちかけ、融資を申し込んできた者に対して、保証金や登録料、調査費等の名目で現金を預金口座に振り込ませる。

 

※男性は40〜50歳代、女性は30〜40歳代が中心だが、年齢性別に関係なく、多重債務者や金銭的に困っている人が被害に遭いやすい。

 

 

■そうそう税金は戻ってきません! 「還付金等詐欺」

 

税務署や社会保険事務所職員等を騙り、税金や年金、医療費等に還付(返金)があると持ちかけて被害者をATMに行かせる。携帯電話で指示して巧みにATMを操作させて口座間送金により現金を騙し取る。

 

※約5割は60歳以上の女性。特にATMに不慣れな高齢者が被害に遭いやすい。

 

 

■新手の手口も続々で背筋ゾクゾク

 

多発する振り込め詐欺を防止するため、警察や金融機関はATM付近での携帯電話の使用を制限したり、注意を促すポスターを掲示する等、注意を呼びかける取り組みが功を奏しているが、これを警戒してかATMを使わない新手の手口も発生している。

 

最近では郵便小包「エクスパック」を悪用した振り込め詐欺が多発。エクスパックは専用封筒で切手を張らずに全国一律500円で荷物を送ることができる。この封筒に現金を入れるよう指示し、私設私書箱に届けさせるという。

 

その他、友達を家にやるから金を渡して欲しい、キャッシュカードや通帳を預かり、引き出した後に返却する等、直接自宅を訪問したケースもある。振り込め詐欺はATMを連想しがちだが、こういった新手の手口にも十分な注意が必要である。

 

また、10月には「03」で始まる電話番号で被害者に接触するパターンが摘発された。これは従来の携帯電話を使った手口より相手に信用されやすく、IP電話を用いるため発信元の特定が困難である等の理由から、この手段を用いる犯罪が増えており、警戒が必要だ。

 

県内・都城警察署管内の被害状況と手口

 

■被害状況

 

宮崎県内・都城警察署管内の手口別被害状況(10月末現在)

 

※9月末現在の被害総額は2774万円で昨年1年分を超過している。

※10月末までに警察への相談が329件あることから、警察へ相談せず被害に遭っていたと仮定し、試算すると71万円×329件=約2億3千万円となる。

 

 

■本当にあった怖い話

 

8月に被害が急増した都城警察署管内での事案は、孫になりすまし「不倫をして裁判沙汰になった。慰謝料が必要になったので振り込んで欲しい」というもので、まったく同じ手口が4件あった。警察は同一犯ではないかとみているが犯人は未だ検挙されていない。

 

また、グラフを見ても分かるように、目立つのが融資保証詐欺。銀行、消費者金融のブラックリストや高校等の卒業アルバムや名簿が出回っている恐れがあるため、多重債務者は特に注意が必要だ。

 

 

◆マジこわっ! PCで振り込め詐欺の肉声が聞けます。(宮崎県警本部)

    http://www.pref.miyazaki.lg.jp/police/local/hotnews/index.htm

 

防ぐにはどうすれば?有効な防止策あれこれ

 

■オレオレ…ってあんた誰?

 

◎「オレよ、オレよ」と相手が名乗らないからといって自分の方から「○○ちゃんね」等と名前は絶対に言わない。

◎慌てず、一度電話を切って冷静になる。

◎子どもや孫に、相手の言った電話番号ではなく、自分の知っている番号で確認する。

◎振り込む前に家族や頼れる人、警察に相談する。

 

 

■架空請求には「無視」が一番

 

◎身に覚えのない請求は無視。電話もしない、料金は絶対に払わない。

◎相手から聞かれても、名前や住所等の個人情報は絶対に教えない。

◎一方的に請求されても一人で判断せず、家族や警察に相談。

 

 

■融資します……世の中そんなに甘くない!

 

◎「低金利ですぐ融資」、多重債務者への「債務を低い金利で一本化」というのは騙しの罠。

◎お金を借りるのにお金を払う必要はない。

◎「保証金」「登録料」「調査費」等とお金を要求してくればその融資話はウソ。

 

 

■還付金詐欺…税金は簡単に返ってこない

 

◎社会保険庁や税務署、市役所等が電話で「お金を払い戻す」等と言ってくることは絶対にない。ATMを使っての還付金手続きはウソ。

◎携帯電話で指示を受けながらATMを使わない。

 

 

*  *  *

 

 

いざという時に動揺するのは当然だが、とにかく、冷静に! 振り込む前に家族や身内にもう一度確認を! おかしいと思ったら一人で悩まず家族や警察に相談を!

 

相談は警察相談窓口(#9110)または、都城警察署(TEL/24-0110)まで。

 

「お気軽にご相談ください」 生活安全課 永山正春氏

 

 

 

 

 

 

「お気軽にご相談ください」

生活安全課 永山正春氏

 

 

振り込め詐欺は常にその犯行手口を変え、巧妙化している。そして顔の見えない組織的な犯行のため、摘発が難しい犯罪でもある。

 

被害者にならないためにも地域住民が声を掛け合う等して協力し、年末に向けて更なる警戒が必要である。(順)

 

■取材協力/宮崎県都城警察署 生活安全課 永山正春氏