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明日への道しるべ

明日への道しるべ 先輩たちの声 No.1 「獣医師 相良稔さん」 写真

先輩たちの声 No.1

獣医師 相良稔さん

 

まだ記憶に新しい本田圭佑のACミラン入団。小学生の頃に描いた夢の実現のために一歩ずつ進んできたエピソードはあまりにも有名だ。

 

これは決して一握りのスーパースターの話ではなく、ここ都城でも若い頃に立てた目標を達成し、更なる夢の実現に向かって進んでいる方々がたくさんいる。このコーナーではそんな方々にスポットを当て、今迄とこれからについて語ってもらう。今目標に向かって進んでいる人や将来の夢がまだ決まっていない人たちに一つの指標として読んで頂きたい。

 

第1回目の今回は、都城市下川東のさがら動物病院、相良稔先生。さがら動物病院は開業から23年。ペットの一般診療と眼科専門診療の他、ペットホテル、美容室を開設している。その院長である相良先生に話を伺った。

 

まず、獣医師を目指したきっかけは?

実家が農業を営んでおり、牛をはじめ犬や猫等の動物と身近に接する環境にあったので、幼い頃から動物がとても好きでした。おぼろげながら農業や畜産の仕事をするんだろうなと思っていましたが、そもそも大学に行かせてもらえるような経済的な余裕があるとも思っていませんでしたから、獣医師になろうという考えはなかったですね。進路がまだ定まっていなかった高校生の時、私が動物好きであることを知っていた父から「獣医師を目指したらどうだ」と勧められたのがきっかけです。獣医大学に行くと目標は決まったものの、いかんせん決めるのが遅かった(笑)。学力が追いつかなかったんです。

そこで1年間予備校に通うことになったのですが、家族にも殺気立った顔をしていると言われる程、必死になって勉強しました。今振り返ると、自分を変える良い転機になったと思いますし、その時の苦しさが今の自分を支えてくれています。

私の愛読する哲学書に、ナポレオン・ヒルの「思考は現実化する」という本があるのですが、そこに書かれている「目標を持って突き進めば必ず達成する」ということ、まさにそうだと実感していますね。

 

その後は?

獣医科のある大学に進学し、卒業後は勤務医や研修を11年程してきました。

ちなみに獣医師の仕事は臨床獣医師(動物病院の獣医師)だけでなく、公衆衛生や農政の分野等、活躍の場は多岐にわたっています。公務員として保健所等で勤務する方も多いですよ。

私は臨床獣医師として平成3年に動物病院を開業しました。当時はシベリアンハスキーやゴールデンレトリバーといった大型犬が人気のペットブームで、犬や猫を家族同様に愛する方々が増えてきたと実感出来る時期でした。また犬の感染症であるフィラリア症の予防に関して、従来より簡単に予防出来る薬が開発されたことで、動物病院を利用する方が多くなったのもこの頃からです。

 

開業されてから大変だったことは?

大変だったことを挙げると、きりがないですよ(笑)。それはどの仕事も同じだと思います。

私は言葉を話せない犬や猫から詳しい情報を得るためには、レントゲンや超音波等、精密な医療機器が必要だと考えていました。そういった設備を揃えることがしっかりとした診断、診察につながると思っていたので、開業当初から導入していきました。それらの機器が高価なんです(笑)。なので、本当に資金面でも苦労しましたよ。

動物病院がポーンと空から降ってきたわけではなく、土地を買い、建物を造り、救命率を高めるために必要な医療機器をコツコツと揃えてきたので、軌道に乗る迄本当に大変でした。また、開業当初は家族揃って晩御飯を食べるのが9時、10時という日々でした。子どもたちはその頃小学生で、大事な時期にあまり構ってあげられなかったことが辛かった。でも、そういう親の姿を見てきた子どもが今、獣医師となりアメリカで動物眼科を学んでいます。それが救いですね。

 

病気やけがを治すことが、やりがいですか?

ペットの病気やけがを治すことは当たり前と捉えているので、それがすべてだとはあまり思いません。逆に救えなかった時には、残念な気持ちと悔しさが募ります。もちろん、病気やけがの程度にもよりますし、病院に連れて来られる状況もまちまちなので、すべて治せるわけではありません。救えない命があることも分かっていますが、少しでも救命率を上げたい。その努力を常にしていたいと考えています。

自分で満足のいく治療、飼い主の方々に納得してもらう治療をしていくこと、それがやりがいでしょうか。

 

今、取り組んでいること、感じていることは?

救命率を上げるということに繋がりますが、動物病院の世界も専門医が必要だと感じています。そんな思いもあり、私は以前から眼科の専門医としても活動してきました。

飼い主の方々には、かかりつけのホームドクターを持ってもらいたいと思っています。まずはホームドクターが診察をし、その上で専門医に委ねたほうが治る可能性が高いと判断した時には専門医を紹介する。動物医療にもそんなホームドクターが必要だと思っています。また、この仕事は社会貢献性が高いんだよと当院のスタッフによく話しています。病気やけがを治すことが犬や猫を必要としている多くの人々の心を救うことにもなるし、病気予防の仕方をより多くの人に伝えることも我々が出来る社会貢献だと感じています。

 

今から夢に向かって進んでいく後輩たちにメッセージを

どんな仕事でもいいので、自分がしたいと思う仕事を早く見つけることが大切だと思います。その目標を達成するために、どう進んでいけばいいのかを考えて行動することが重要です。それには親の協力も不可欠だと思います。親が子どもの特性等を見た上で選択肢を与えてあげて、目標への後押しをしてほしいですね。

 

ありがとうございました。

 

明日への道しるべ 先輩たちの声 No.1 「獣医師 相良稔さん」 集合写真

(取材協力) さがら動物病院 TEL 0986-24-1655