ぼんち 元気企業 ■■■都城圏域の元気な企業を徹底取材!仕事内容ほか、ユニークな取り組みや元気な人などを紹介します。

元吉製作所

■取材協力/元吉製作所
代表 元吉 弘行(42)
都城市上町17-8
TEL/0986-23-5252
営業時間… 8:00〜17:00
定休日… 毎週日曜日、祝祭日

 

今回は、元吉製作所 代表の元吉弘行さん(42)に話を伺いました。

 

当社の創業は昭和20年頃。祖父の代から私で三代目です。主に囲碁、将棋関連の工芸品を製作、販売しており、専門は碁石を入れる丸い器の「碁笥(ごけ)」。木工ロクロで製作しています。

 

この木工ロクロ技術は宮崎ロクロ工芸として宮崎県の伝統的工芸品に指定されています。伝統的工芸品とは、製造過程の主要部分が手工業的で、60年以上の歴史がある伝統的技術によって製造されている――などの要件に基づいて指定されるものです。現在、木工ロクロの技術者がいる製作所は都城で4カ所ほど。更に碁笥専門の職人は都城で2人、全国でも4、5カ所と聞いています。

 

碁笥の原材料は、主に南九州産のけやき、くわ、くす、さくらなどの広葉樹。特に、けやき、くわは本州にはない独特な色合いが特徴です。仕入れは都城原木市場ほか、時には熊本まで足を運ぶことも。最近は良い材が減っていて探すのに苦労します。当然ですが、良い材ほど値が張るので競りでは力が入りますね。

 

こうして仕入れた天然木を輪切りにし、荒引き、乾燥、加工、仕上げなど、数々の工程を経て完成します。当社では器と蓋の木目が合うように製作することにもこだわり、仕上げのロウ引きでは、ロクロを回しながら特殊なロウを塗り、指先の感覚で調整しながら艶を出していきます。ロウ引きは、まだ塗装がなかった時代の先人たちの知恵。大変手間がかかる作業ですが、木の風合いを残す重要な工程です

 

ちなみに、私が製作した、くすの囲碁セットは、「呉清源〜極みの棋譜〜」(2007年公開)の撮影で使用されたんですよ。この作品は20世紀最高の天才棋士とよばれた呉清源の伝記映画。田壮壮監督が大変気に入ってくださったと聞き、プレゼントしました。

 

完成までには時間と手間がかかりますが、同じものがふたつとなく、時間の経過と共に変化や味わいを見て楽しめるのも工芸品ならではの醍醐味です。今後も代々受継がれた伝統技術を守りながら、新しいものづくりにもチャレンジしていきたいです。 (順)

 

 

ぼんち 元気企業 「元吉製作所」 伝統技術を日常使いの器に 写真

近頃は不景気の影響もあり、高級品が売れない時代。そこで、現代のニーズに応えることで伝統技術を残したいと考え、日常で気軽に使えるお椀や湯呑み、茶筒ほか、皿、コースター、焼酎・ワイングラスなども製作している。木工芸ならではの温もりがあり、使い続けると味が出ると好評。製作所ほか、道の駅都城、みやざき物産館でも購入できる。