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「話題のキーワードをわかりやすく解説 わたしも、モラエル?「定額給付金」受取マニュアル」

ここ最近、テレビや新聞などで目にする機会の多い「定額給付金」。どうやら国からお金がもらえるらしい、というくらいのことは知っているけど、実際にはいつもらえるのか、いくらもらえるのか、どうしたらもらえるのか、はっきり知らない人が意外に多い(それだけ関心が薄いわけだが)。そこで、フォーラム記者が(自分のあやふやな知識を正すためにも)、定額給付金の仕組みを分かりやすくまとめてみた。

定額給付金ってそもそも何?

読者の多くは、過去に「地域振興券」というものが配られたことを覚えておられると思う。1999年、15歳以下の児童がいる世帯、あるいは老齢福祉年金の受給者等に対し配布された、一人あたり2万円の金券のことである。

 

定額給付金はそれと類似している。ただし今回は国民全てに一人当たり1万2千円が支給され、18歳以下の子どもと65歳以上の高齢者には8千円を上乗せされた2万円が支給される予定だ。

 

ちなみに地域振興券の総支給額は7千億円だったが、今回の定額給付金は総額2兆円とされている。地域振興券のうち、消費に使用されたのは2〜3割程度で、残りは貯蓄されたため、抜本的景気対策にはならなかった。今回の定額給付金も、消費を促すことで景気を一時的に回復させるのが狙いだが、実際にはあまり効果がないのではないか、とする向きが多い。

 

さて、効果のあるなしより、多くの人が気になるのは、受取り時期とその方法だろう。

 

現在のところ、国会で関連法案が全て可決されるのは3月14日以降の公算が大きい。そのため、給付金は今年3月下旬から支給される方向で調整が進められている。

 

まず、3月中旬から下旬にかけ、市から申請書が自宅に届く。申請書に振込口座を記入し、本人であることが確認できる書類を同封し、郵便で返送。すると、後日、家族全員分の給付金が口座に振り込まれる。銀行口座を持たない人は窓口で受け取ることもでき、申請期限は六ヶ月とされている(3ヶ月の可能性も)。

 

高額所得者には支給されないという話もあったが、年間所得千八百万円以上の国民は0.3〜0.4パーセント程度であり、所得制限のための手間や費用をかけるほどのメリットはなく、結局は2月1日時点で住民基本台帳に記録されている人なら誰でも受け取れることになった。

 

例えば、海外赴任中の人やホームレスの人も住民登録があれば対象となる。ただし、ホームレスの人は、実際に登録された住所に住んでいる実態がないと、市によって住民登録が抹消されることがある。中には、住民登録を抹消されたことに気付かない人もいるため、今回の給付金支給にあたっては、2月1日を過ぎてからでも、自立支援センターや知人の家を住まいとして登録すれば受け取れるよう準備が進められている。

誰もがほしいが誰からも評価されない?

マスコミなどの調査では、定額給付金を「評価する」と答えた人は約2割、「評価しない」と答えた人は約7割にのぼっている(これは麻生内閣を「支持する/しない」の割合とほぼ同じだ)。その理由として「景気回復の根本的解決にはならない」という声が最も多く、民主党などは財源を雇用対策に振り替えるべきと主張している。

 

ただし、2兆円の具体的な使い道としては民主党もまだ結論するには至っていない。失業者の住宅確保、職業訓練の充実、介護現場の人手不足解消などの案は出ているが、どれも帯に短し襷に長しの案だからだ。

 

ちなみに東国原宮崎県知事は定額給付金には反対意見だ。1月8日、知事は定例記者会見において「(給付金が)消費行動に向くかどうか疑問だ」と批判的に述べ、「定額給付金は予算案から分離して、後で与野党で侃々諤々(かんかんがくがく)すればいい。農業支援策など重要な施策を先に通してほしい」と話した。

 

また、知事はこうも言っている。「(給付金は)昨年12月のクリスマスや歳末商戦までに、地域通貨のような形でやってくれればよかった。スピード感がない」。確かに、給付時期がガソリンの高騰した昨年夏であれば、今とは違った結果になったに違いない。ガソリンは一時期1バレル140ドルを超えたものが、今や50ドル前後まで下落している。明らかにタイミングを逸した感がある……もっとも、地域振興券はスピード可決・実施されたにもかかわらず、さほど効果はあがらなかったが。

みんなで使おう給付金 新手の詐欺にも要注意

定額給付金受け取りまでの流れ定額給付金が実施された場合、宮崎県全体では180億円程度の支給額となる。それが全て県内で消費されれば、根本解決にならないまでも、一時的に潤うことは間違いない。このまま麻生内閣が存続されれば(可能性は限りなく低いが)、消費税が増額されることは間違いない。どうせ税金として回収されるならば、ぱっと使ってしまうことも、一時しのぎのカンフル剤にはなるだろう。「俺は宵越しの金は持たねェんだ」と江戸っ子風にいきがってみるのも悪くない。

 

最後に余談にはなるが、定額給付金を装った不審電話が増えているというから要注意だ。その多くは「定額給付金を振り込むからATMを操作してほしい」というもの。

 

市職員や総務省などが定額給付金の給付に関して、ATMの操作を依頼することは絶対にない。また給付に関して手数料を求められることもない。そもそもまだ給付は始まっていないし、法案さえ可決されていないのだ。市職員や総務省職員を語る電話がかかったり、郵便が届いたら、迷わず警察署に届け出ることをお勧めする。