そう、あれは今から3年以上も前――平成21年1月号の本誌記事『笑撃の真相』で紹介した、下の3体の人形を覚えているだろうか?
彼らは山田町から御池に繋がる道(県道45号線)の交通安全を見守る三兄弟で、『伝説のスナイパー』と『薩摩藩のヒーロー』を思い起こさせる顔つきや風貌から、『ゴル郷どん(ゴル郷三兄弟)』と勝手に命名させてもらった。
そんな彼らに対し、一通のお便りがきりしまフォーラムへ届いたのだが、そこには、このように書かれていたのである。
◎ゴル郷どんって居なくなっていませんか――? (ミスター小林/27歳) |
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「なんだとーーーーッ!!」
「大至急、調査に行ってくるぜ――ッ!!(汗)」
山田町へと車を走らせ、御池方面へ向かう県道45線へ入った瞬間、当時の取材様子が頭の中を駆け巡る――。
「あぁ〜、この通り懐かしいなぁ〜。それにしても彼ら、どこに失踪したっていうんだよ(汗)」
「あっ! このカーブを曲がったら、確か1体目のゴル郷どんがいたはずなんだが…」
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「あれ!? ゴル郷どん、いるじゃん!」
「何だよー、心配させやがって〜♪」
「久しぶり♪ 元気にして……」
………………………………(汗)
何か様子が違う……(汗)
顔つきにあの時の面影が全く無い……。
これは加齢による顔の変化というレベルではない。
どういう日焼けの仕方をしたのか、肌は黄色くなっているし、九州男児の象徴とでもいうべきキリッとした眉毛も全て剃り落としている……。
鼻はどうみても、ひらがなの「ん」になってるし……(汗)。
俺の目の前にいる男は、本当にゴル郷どんなのか!?
そして嫌な予感が頭を過る――
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言わんこっちゃない……。
次男は子連れ狼の大五郎……、三男はプリティ長嶋にしか見えない……(汗)。
三兄弟とも、かつての愛すべきキャラクター『ゴル郷どん』と呼べる代物では無くなってしまった……。
しかもプリティさんに至っては、左肩から「交通安全」と書かれたタスキを掲げているにも関わらず、右肩から掲げるタスキには、どう見ても「とばせ」と書かれてあり、もはや交通安全の為の人形なのかどうかも怪しい……(汗)。
一体、三人の身に何が起こったというのだ!?
こうなったら、彼らの作者を探し出し、聞き出すしかない!!
その手がかりを探すために、まずは三兄弟の身体検査から始めると、あることに気がついた。
彼らの立っている土台を見ると、そこには――
『H21.6 吉日 壮年』 と書いてある。
恐らく地元の壮年団の手によって、ゴル郷どんが今の姿に作り変えられた日であると推測される。
この記述によって、作者の手がかりを掴むことができたが、注目すべきは日付。
冒頭でも触れた通り、最初に本誌で彼らを紹介したのは『平成21年1月号』。
つまり、紹介されてからその5ヶ月後に、現在の姿に変えられているのだ!!
当時の彼らは、風化寸前の錆びついた体で、じっと佇んでいたわけなのだが、『誌面に取り上げられた』→『ゴル郷どんが注目を浴びる』→『皆に綺麗な姿の彼らを見せたい』――という流れから、装いを一新したのではないだろうか!?
しかし、肝心の壮年団に関する情報は、何も見つける事ができない。
唯一の手がかりは、人形と共に交通安全を謳う旗が掲げられており、そこには「交通安全協会山田支部 南山田部会」と書かれてある。
ここを突き止めれば、壮年団の情報が聞けるのではないかと、早速調査にあたった!
調査開始から数日後――
回りまわって、遂に南山田部会の会長にまで辿り着き、壮年団の会長を紹介してもらうという、期待通りの展開となった。
そして取材当日――
壮年団の会長が待つ場所へ訪れると――
……………誰!?
「えっと…、壮年団の方々ですか?」
(赤)「俺は、だんどいレッドだ!」
(青)「私は、リサイクルブルーです!」
(緑)「えー、カリマスグリーンと言います♪」
(赤)「我々は、上是位川内(かみじいがわうち)地区の平和を守るヒーローだ!!」
ヤバい……(汗)
過去に例を見ない人種だ……(汗)
誰がどうみてもマスクの下は壮年団の面々だと思うのだが……仕方ない、ここは流れに乗ったまま取材するしかない……。
「すっ、凄いですね! 私もあなた方のようなヒーローに取材できて光栄です!(汗)
ところで、この辺りに立っている交通安全人形の作者について調べているのですが――」
(赤)「おお、あの人形のことか! それは代々、上是位川内地区の壮年団が作っているらしいぞ!」
「……代々!? という事は、結構昔からあるんですか?」
(青)「そうですね、私が子供の頃からあったので、かれこれ20年以上は続いていると思いますよ」
「へえーっ、そんなに昔から! しかし、長年続けられているという事は、それ程までにこの辺りの道路では事故が多いのですか?」
(緑)「ん? そんな事はないよ。この辺りは殆ど車も通らないしね♪」
「えっ!?(汗) そっ、それじゃ何のために彼らはいるんですか?」
(赤)「交通安全の為と言うよりは、上是位川内地区の注目度を集めるためのマスコット的な存在として作られているんだよ!」
なるほど、始めからそのような目的で作られていたのか!!
とすると、以前本誌で紹介された際には、十分なPRができたのではないだろうか。
そして、それがきっかけとなり、更なるアピールの為に綺麗に作り変えたというわけだな!
そう確信し、ゴル郷どんリニューアルの真相を問いただした!
(赤)「う〜ん、どうなんだろうなぁ!(笑)」
(そこで笑ってるってことは、絶対そうだろ……)
(赤)「しかしゴル郷三兄弟は上是位川内地区の有名人だからなぁ! きっと、きりしまフォーラムを通して世間に知られてしまったので、身を隠す為に整形したんだと思うぜ!」
「そっ、そうなんですか……(汗)。でも、あの整形……失敗してませんか…?」
(赤)「しっ、失敬な!!(汗) 我々……いや、壮年団の方々の最高傑作じゃないか!(焦)」
「でも、こんな疑問点も見つけましたよ――ほら、この三男の右肩からのタスキには『とばせ』って書いているように見えるんですけど――」
(赤)「かっ、書いてあるね……(汗)」
(青)「どういう事なんだろ……(汗)」
(赤)「そろそろ仕事に戻らないといけない時間かな……(汗)」
(緑)「そうだね……(汗)」
(3人)「ハッハッハッハッ(汗)」
結局、本誌掲載とゴル郷どんリニューアルとの因果関係もうやむやにされたまま、取材は終了。
しかし、ヒーローたち曰く――
「あのマスコット達の真実――誰が何のために作ったのかなどは、公にしない方が良いのではないかと我々は考えている! 謎めいている方が、見る人の興味を掻き立てて面白いじゃないか。 全て明らかになってしまったら、人によっては楽しみも終わるかもしれないしな。 だから我々もこのような姿で登場しているんだよ!(笑) 彼ら三兄弟には、これからもずっと、行き交う人達の興味を掻き立てる存在で在り続けてほしいね――」
と、意外にもまともに締めてくれた。
彼らと別れの挨拶を終え、車を停めていた近くの商店へと向かうガノ。
車に乗り込み、そこから今なお座談を続けるヒーロー三人組の方へと視線を向ける――
どうみても、これから商店を襲撃しようと、作戦を練っている一味にしか見えない……(汗)(ガノ)