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エタンセレクト、読書のススメ。『読書道(どくしょどう)

ここではエタンセレクトの文庫本を中心にご紹介しています。

「阪急電車(有川浩)」表紙

秋は行楽の季節──連休を利用して旅行に行かれる方も多いのでは。そんな移動のお供に、文庫本はいかが?

 

今回は、今年の4月に映画化され話題を呼んだ『阪急電車(有川浩・幻冬舎文庫)』をご紹介。『フリーター、家を買う』、『県庁おもてなし課』など話題作の多い有川浩。

 

今作は、16の物語で構成された連作短篇集なので、読書が苦手な方でも楽しく読むことができるはず。

 

物語の舞台は、阪急今津線。宝塚駅から西宮北口駅まで八つの駅を通過する片道15分ほどのローカル線である。

 

ただ乗り合わせただけの乗客達の人生が、何気ない一言で少しずつ交錯していく…恋の始まり、別れ、途中下車──。

 

奪われた元彼の結婚式に討ち入りとして白のドレスで出席した翔子、彼氏のDVで悩んでいるミサ、孫娘と一緒に乗車した時江や、私達の身近にも存在するような馴染みやすい人物が登場。関わり合うはずのない人生が交わる時、小さな奇跡が起こる──。

 

乗客達の人生が動き始める瞬間や窓の外の情景が丁寧に描かれているので、自分も実際に乗り合わせているような錯覚すら覚える。一度読み始めたら続きが気になって仕方ない…そんな流れも秀逸!

 

あなたも、往復30分の今津線へ乗車しませんか? 乗客達の会話に、自分の悩みの解決の糸口が見つかるかも。優しい情景に、きっと心が温まりますよ。