記者 初めての選挙戦を終えての率直な感想をお願いします。
池田市長 現在は、責任の重さを強く感じています。選挙期間中は、多くの市民の方々の声を聞き、それぞれに課題などをご提示頂きました。そのご意見は今後の政策に反映していきます。皆さんにお会いし、直接、声を聞いたことは、これから活動していく上で大きな財産になっていくと思います。
記者 具体的には、どのような声を聞きましたか?
池田市長 農業や畜産をしている方からは、もっと所得を増やしてほしいという声を、旧4町にお住まいの方からは、合併してから町が活性化していないなどの声を頂きました。中心市街地に関する声も多かったように思います。
記者 今後、重視する政策を教えて下さい。
池田市長 私は、都城をより発展させていくためには、今の都城が持っている宝を輝かせることが一番の近道ではないかと思っています。
1つ目は、「都城の基幹産業である農林畜産業の振興」です。これらの産業を活性化していく一つの手段として6次産業化(※1)を進めていきます。6次産業化を進めることで、農林畜産業や関連企業の収入が増えるだけでなく、その勢いが他産業にも波及し、結果、都城経済全体の底上げ、活性化が図られると考えています。
(※1…生産→販売ではなく、生産→加工→販売という形で、その地域で加工して付加価値を付け販売すること。)
また、畜産業については、5年後の全国和牛能力共進会で、都城牛の日本一を目指します。現在、都城は牛豚鶏肉の生産日本一ですが、共進会で品質も日本一となれば、名実ともに日本一の生産地になります。それこそが、都城をPRする上での大きな力になる。しかし、これは行政だけでは実現できないことなので、農協や畜産農家とも協力し、目標、夢をもって取り組んでいきます。
2つ目は、「都城の地の利を活かす」ということです。都城は南九州のちょうど真ん中に位置しています。九州自動車道もあり、宮崎空港、鹿児島空港にもアクセスしやすい場所です。そんな地の利をもっと活かすために、現在進めている地域高規格道路・都城志布志道路の全線開通を早急に実現できるよう、国や県と連携を深めて進めていきます。この道路が繋がれば、志布志港に40分で行け、海とも繋がることができます。つまり、盆地でありながら陸海空全ての交通手段を手に入れられるということです。また、畜産飼料などの運送コストが安くなるという点も魅力です。さらに、志布志港を使い、首都圏や将来的にはアジアの市場にも都城の農林畜産物を出荷することが可能になり、収入アップに繋がると考えています。
南海トラフ地震など大規模な地震が発生した場合、宮崎市や日南市など本県沿岸部は大きな打撃を受ける可能性があります。そうなると県政も停滞しかねない。その時は、都城市がバックアップシティとして機能しなければなりません。したがって、物資の運搬やレスキューなど宮崎県全体にとって重要な防災上の役割を果たす道でもあるため、少しでも整備が前へ進むよう最大限に努力していきます。
3つ目は、「次世代の子どもたちの人材育成」に力を注いでいきます。
教育支援としては、世界に羽ばたく子どもたちを育成するため、週に1回は、各校にALT(※2)が派遣できるよう、ALTの人数を倍増して英語教育の充実を図っていきます。
(※2…外国語を母国語とする外国語指導助手。小中学校に児童・生徒の英語発音や国際理解教育の向上を目的に各教育委員会から学校に配置され、授業を補助している。)
また、勉強はもちろんですが、地域の祭りや社会奉仕活動、部活動や文化活動など様々な経験を通して、「子どもたちの人間力」を育てていきたいですね。子どもたち一人一人が成長すれば、地域の力になります。行政としてもできる限りの支援をしていきます。
記者 子育て支援、教育支援について具体的に教えて下さい。
池田市長 まず、教育支援に関しては、先程申しましたALT倍増に加え、市立図書館や小中学校図書館の図書充実、小学校図書館への図書館サポーター配置を行っていきます。本に親しむ環境づくりを行うことで、人間力向上に繋げていきたいと考えています。また、教師の質の向上を目的とし高い指導力のある優れた教師の授業を広めるエキスパートティーチャー事業に加え、素晴らしい取り組みを行った学校を表彰するエキスパートスクール事業も展開していくなど、都城全体の教育力をあげていきます。
子育て支援に関しては、こども基金などを活用し、子育て支援グループなど子育て世代に対して積極的に支援を行います。支援グループは、お母さん同士が悩みや不安を相談し合う重要な場と認識しています。行政としては、このような場を引き続き支援していきたいと考えています。
一般的に、子育て支援という言葉は周知されていますが、今、「子育ち支援」という考えが重要という声も多く上がっています。子育て支援は、子どもを育てる側、つまり親への支援を意味します。そして、子育ち支援は、まず子どもを中心に据え、子どもが育つために私たちがどのような社会をつくっていくべきか、教育や保育も含め、子どもに直接支援することを意味します。
私自身は、子育て支援はもちろん大切ですが、子育ち支援も重要だと考えています。こうしたことを自分の中でも意識し、政策に反映させていきます。
記者 中心市街地の活性化について詳しく教えて下さい。
池田市長 中心市街地の活性化については、現在、地元の経済界が動いてくださっています。行政の立場からすると、地元の経済界の動きに対して、阻害することなく支援していく。これが基本的なスタンスです。
私が考えている地方におけるまちづくりの一番成功しうる形は、地元の経済界が自ら再生に動き、それを行政が支えるという形です。行政が先んじて手を引っ張っていくというのは、いずれ息切れしてしまうように思います。町の方々自らが立ち上がるというのが大きいのではないかと思います。経済の活力となっているのは民間企業です。民間企業が元気がないと、世の中、町が元気にならない。そういう面からしても、今の都城の経済界の動きはとてもありがたいです。動き出しているその火を消さないように行政がサポートしていきます。若い世代の人たちにも、これまでと違う発想で動いてほしいと思っています。
記者 どのような市長を目指し、都城をどう創り上げていきますか?
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池田市長 市民との対話や市役所内での議論を大切にしたいと思っています。様々な場所にも出向き、多くの声を聞きたい。そして、身近に感じてもらえる市長を目指したいと思います。
都城市はこれからますます発展する潜在力を持っていると信じています。先に述べたような政策を行い、南九州の拠点都市としての都城市を創り上げていきたいと考えています。
記者 最後に読者へのメッセージをお願いします。
池田市長 私は「自分が笑顔でいれば、周りも笑顔で、元気になれる。笑顔でいれば、いいことが舞い込んでくる」という思いから、「スマイルシティ都城」を目標に掲げ、市民一人一人が笑顔で元気に過ごせるまちを目指していきます。
全身全霊で、都城の発展のために尽くしていきます。市民の皆様にもご協力頂き、オール都城でタッグを組んで、同じ方向を向いて前に進んでいきたいと思っております。ご協力をよろしくお願い申し上げます。
就任直後の大変お忙しい時期にもかかわらず、快く取材に応じて頂きました。物腰柔らかい話し方の中にも、都城市発展に対する情熱がひしひしと伝わってきました。都城の未来を行政に託すだけでなく、私たちも自分のまちにもっと関心を持ち、協力していきましょう。