東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、世界的に脱原発の動きが強まる中、深刻化するエネルギー資源問題や地球温暖化問題への有力な対策として、再生可能な自然エネルギーの重要性が認識されている。
原子力や火力発電以外では、水力や風力、太陽光などの自然を活かした発電所が全国で稼働している。隣県の鹿児島県では、再生可能エネルギー発電として、長島町など4カ所に九州最大級の「風力発電」施設がある他、霧島市、指宿市に「地熱発電」、屋久島では、「水力発電」が稼働している。
また、宮崎県都農町では今年2月、全長3.6キロにわたる太陽電池パネル1万2500枚が並び1メガワットの大規模な太陽光発電施設(メガソーラー)が発電を開始した。
そんな再生可能な自然エネルギーの中でも、電力会社からの送電への依存度を減らす小規模分散型電源として、特に太陽光発電(PV=Photovoltaic)システムに対する注目度が高まっている。
太陽光発電システムとは、太陽電池が太陽の光エネルギーを吸収して、直接電気に変換する仕組みの発電方式である。
今年5月、菅直人首相はパリで開催された経済協力開発機構(OECD)の設立50周年記念行事の場で、
★2020年代の早い時期に自然エネルギーの割合を20%超に引き上げる
★太陽電池の発電コストを2030年に現在の6分の1に引き下げ、日本中の設置可能な1千万戸の屋根に太陽光パネルを設置することを目指す
――という構想を掲げた。
構想の実現性は不透明だとしても、太陽光発電システムの市場が拡大する可能性はますます高まっている。
国内でも2009年に復活した補助金制度や余剰電力買取制度が功を奏し、住宅向け太陽光発電システムが急速に普及した。
宮崎県は、日照環境に恵まれ太陽エネルギーの恩恵を受けていることから、太陽光発電の普及啓発、導入促進等に、官民一体となって積極的に取り組んでおり、住宅用太陽光発電システム導入件数は1万5285件、普及率は全国第2位(平成22年12月・J-PEC調べ)となっている。
また、県はエネルギー問題や地球環境問題への対応として、さらには、新たな地域づくりの取組みとして、本県ならではの太陽光発電関連施策の構築とその推進を目的とする「みやざきソーラーフロンティア構想」を平成21年3月に策定。「製造」「発電」「活用」の三拍子揃った太陽光発電の拠点作りを目指している。
しかし、エコ意識に加えて、電力不足や節電への自己防衛策として、太陽光発電システムの導入を考える際、個人が家庭に設置するには高額な導入費用で頭を抱えてしまう人も多いのではないだろうか。
こうした導入コストの回収や、採算面などの課題に対しては、導入補助金制度や電力買取制度を利用しよう。
■国の補助金制度
○募集期間…平成23年4月12日(火)〜12月22日(木)
○補助金額…家庭用発電設備で、公称最大出力1kWあたり4万8000円(例…3.5kWの場合、4.8万円×3.5kW→16.8万円※一部の特殊工事費用については別途規定あり)
※補助上限額は公称最大出力が10kW未満であり、小数点2桁未満は切り捨てになるため、公称最大出力の上限が9.99 kWになり、補助金交付額の上限は47万9520円。
※補助予定額に達した時点で終了の場合がある。
○対象者…住宅に対象システムを設置しようとする個人又は法人
※対象システム、制度の詳細は販売店などにお問合せを。
■県の補助金制度
○募集期間…平成23年7月27日(水)〜平成24年1月31日(火)
○補助金額…太陽電池モジュールの公称最大出力1kWあたり3万円(例…2.22 kWの場合、3万円×2.22 kW → 6.66万円となるが、千円未満を切り捨てるため、補助金額は 6.6万円。)
※補助上限額は8万円(宮崎県内で生産された太陽電池モジュールを設置した場合又は宮崎県産材を構造材の80%以上使用した新築木造住宅に対象システム等を設置した場合は、補助の上限金額をそれぞれ2万円ずつ増額。)
※補助予定額に達した時点で終了の場合がある。
○対象者…県内の住宅(店舗、事務所等との兼用住宅を含む。)に以下の要件を満たす太陽光発電システム及びLED照明器具を設置し、電灯契約を結ぶ個人又は法人
※対象システム、制度の詳細は販売店などにお問合せを。
■余剰電力買取制度
太陽光発電システムの発電電力のうち余った電力(余剰電力)を、電力会社が買取る制度だ。システム設置初年度の買取価格で10年固定だが、価格は設置年度毎に異なる。 今年度は、全国一律1kwあたり42円(※1図参照)の単価買取。
国会では、7月14日に衆議院本会議において「再生可能エネルギーの買取に関する特別措置法案」の審議を開始しており、住宅用太陽光発電に対する電力の買取価格(売電価格)を2012年度は30円台後半になると想定している。
では太陽光発電システムを設置することで、どのようなメリットがあるのか、また設置を考える際に消費者の方からよくある一般的な質問に関して、シャープ住宅用太陽光発電システムの特約店として13年の信頼と300件超の設置実績のある「株式会社 野崎組」さんにお話を伺った。
◆太陽光発電システムのメリットは?
「太陽光発電の最大のメリットは、エネルギー源が無尽蔵で、クリーンである点です。さらに、太陽光の力で電力を生み出すことができます。
つまり、太陽光発電で得た電気を有効に使うことで、光熱費を大幅に抑えるだけではなく、さらに余った電気を電力会社に売ることができ、より家計にやさしい電力といえます。
また太陽光発電は、導入するシステムの規模に関係なく発電効率が一定です。設置する場所の広さに合わせて自由に規模を決めることができるため、一般家庭から大規模施設まで、それぞれの施設に合ったシステムを設置することができます。
そして、太陽光発電システムは構造的にシンプルであるため、ほかの発電システムに比べメンテナンスも簡単です。システムの寿命も比較的長く、現在、太陽光発電に用いられる太陽電池の耐用年数は、20年以上とされています(設置場所などの諸条件によって変わります)。」
◆業者選びのポイントは?
「太陽光発電は寿命の長い商品で、業者とは何十年という付き合いになるため、業者選びが重要です。
太陽電池は各メーカーにより「価格」「性能」「アフターメンテナンスの有無」などが異なり特徴があるので、太陽光発電のイベントに参加するなど事前情報を身につけることやご家庭の屋根に合った見積りと経済効果・環境効果のシミュレーションをとるのも良いでしょう。」
◆設置するのにいくらかかるの?
「太陽光発電システムを設置するには、機器一式、 設置架台、電気・設置工事費等の費用がかかります。
一般的に平均設置費用は約240万円(4.07 kW×59.0万円)であると算出されますが、メーカーや設置条件(新築、 既築)やモジュールのタイプ(屋根置き型、屋根材型)、 あるいは屋根材の種類や形状、面積などによって異なるため、業者に確認してください。」
◆何年くらいで元はとれるの?
「一般に10〜20年ぐらいで元が取れると言われていますが、諸条件によって異なります。ローンで費用を支払う場合、毎月の平均電気料金でローン償却できることが目安となります。
償却期間を縮めるには、年間の削減電気代を大きくすることがポイント。新築であれば次世代省エネ基準の高断熱・高気密住宅にする、省エネタイプの機器を使う、オール電化にする、昼間と夜間の電気料金が違う「時間帯別電灯契約」にする、ことなどが必要です。
日中の電気の使い方、屋根の形、大きさ、角度、日照条件、オール電化か否かなどにより買い取ってもらえる余剰電力量や節約可能な金額が大きく変動します。」
★太陽光発電を株式会社 野崎組さんで設置されたNさん宅で、お話を伺った。
「太陽光発電は、以前から興味がありました。また、太陽光発電とオール電化は組み合わせるといいという話を聞いていたので、野崎組さんに相談してみることにしました。
そして、お財布に無理なく購入できることが分かって設置を決意! 太陽光発電+オール電化にしたことで電気代がグンと削減でき、また売電もしています。今では、太陽光発電は私達の生活にはなくてはならない存在です!」
■取材協力/株式会社 野崎組