読者から寄せられた『噂』をもとに、調査隊長・ガノが真相解明!
今回は『一風変わった時計』に関する噂を調査!
●このような時計は無いでしょうか?(Y・I/70歳)
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「これは、俺に対するイタズラなのか!?」
──最初にこのイラストを見た時、そのように感じた。
だって、こんな時計見た事も聞いた事もねぇよ…(涙)。
しかも、よく見るとこの投書、「こんな時計があったら欲しいなぁ」という願望に聞こえなくもない。
つまり、「このような時計が欲しいので、探してくれ」…という調査依頼なのだろうか…(汗)。
だが、こうも考えられる。
投稿者の年齢は70歳。
──もしかすると、昔はこのような時計があったのではないだろうか!?
それが、時代の流れと共に無くなり、今ではすっかり目にする事がなくなった──そんな貴重な時計なのではないだろうか!?
それはそうと、最初はこのイラストがどういう時計を意味しているのか、理解するのに苦しんだ。
だが、恐らくは次のような事だと推測する。
一般的な時計といえば、数字の『12』が頂点にあり、12時間で1周(1日2周)するタイプである。
しかし、イラストのような時計があるとすれば、それは24時間で1周(1日1周)するという事であろう。
う〜〜ん、果たしてこのような時計が、実際にあるのだろうか…。
まずは、この時計の存在を確認するために、市内にある数々の時計販売店に聞き込み調査を開始。
だが、いくら聞いても、返ってくる答えは──
「こんな時計は見たことがない」
「そのような時計の情報は聞いたことがない」
──というものばかりであった。
「やはり投稿者の願望に過ぎなかったのか……(汗)」
…と、24時間表示時計の存在に懐疑的になっていたそんな時、ある販売店より衝撃的な情報が飛び込んできた!
なんと、このタイプの時計が店頭に置いてあると言うではないか!
そこは、ジャスコ2階にある『THE CLOCK HOUSE都城店』。
早速、お店を訪れると、確かに文字盤の一番上に『24』と書かれた腕時計を発見する事ができた!!
この時計はCITIZEN製の2010春モデル──市場に出て間もない時計のようだ。
(ガノ)「こっ、これが24時間表示時計ですか〜! 不思議なデザインの文字盤ですねぇ〜」
(ガノ)「ところで、時間はどのように見るのでしょうか? 一般的な時計でいくと、4時40分位を針は指していますが……」
(店員)「えっと、今は4時39分ですね!」
(ガノ)「へぇ〜……ってそのままやんけぇ〜〜!!」
──そう、時計の写真を見てお気付きになった方もいるかもしれないが、実はこの時計、文字盤に違和感はあれど、基本構造は1日2周するタイプの時計であり、そこに24時間表示機能をサブ的な要素として取り付けたものなのである。
しかし、店員さん曰く、サブ的な要素であるとはいえ、このように、文字盤に24迄の数字が書かれた時計を見た事は、過去に一度も無いという。それほどまでに、珍しいタイプの時計であるそうだ。
ちなみに、24時間制で時間を見る際は、三角形の頭の付いた細い針で、外周に記された目盛りを読む──そうすると、今の時間は『16時40分位』となっている事がわかる。
ちなみに、その後も店員さんの計らいで、様々な時計のカタログを見て、調べてもらったのだが、やはり『純粋な24時間時計』というものは見当たらなかった…。
──取材を終えてから数日。
この原稿を書きながら、時計の発見を投稿者に伝えたいという喜びを持つ反面、どうしても引っかかる部分があり、素直に喜べない自分がいた。
そう、今回見つけた時計は、あくまでも『12時間時計』である。
確かに、文字盤の数字の配列など、投稿イラストに近いものではあるが、1日に1周しか回らない純粋な24時間時計を見つけたわけではないのだ。
その時だった。
調査時に、ある時計販売店の店員さんが言っていた言葉を思い出した。
「──いまだかつて、お探しのような時計が店頭に並んだ事はないので、恐らく大手メーカーでは製造していないのではないでしょうか。しかし、精工店のようなところであれば、独自でそのような時計を作っている可能性はあると思いますよ──」
そこで、販売店から製造会社への調査に方向転換し、24時間時計を探し求めていると、それらしき物の存在を臭わせる『ある会社』の名前が浮かび上がってきた。
そこは『イシハラ株式会社』という、鹿児島県で時計製造等を営んでいる会社であった。
早速、電話により24時間時計の存在を伺うと、応対して下さった冨田氏より衝撃の言葉が発せられた。
(冨田氏)「──なるほど、1日に1周するタイプの腕時計ですね。それでしたら、私も今、腕に着けてますよ」
(ガノ)「──なんですと!!」
そして、その腕に着けいてるという時計の画像を送ってもらった。
その衝撃の画像がこれだ!
ノリでワン・ツー・スリーと言ってしまいそうになったが(汗)、それはさておき、1〜24迄の数字が全て文字盤上に記されており、1日に1周しかしないという仕様など、正に探し求めていた時計である!
時間の見方は、写真では現在、一般的な時計言うところの10時10分位を指しているが、実際は『20時8分』を指しているそうだ。
白色の太くて短い針が、外周にある1〜24迄の数字で記されている『時間』を、そして、同色の細くて長い針が、真ん中に5分刻みに記された点=『分』を表しているという。
この時計──すなわち24時間制にするメリットは、例えば友人と『8時に待ち合わせ』となった場合、それは朝の8時なのか、夜の8時なのか──このような時に、AM・PM(午前・午後)といった言い回しをしなくても済むようになり、言い方による間違いが起こる事もなくなる。
また、航空・JR・バスといった交通機関の時刻表は24時間制で表記されており、頭の中で12時間制の時間に換算しなくても済むので大変便利なのである。
ちなみに、24時間時計が生まれたのは、今の12時間制では生活時間にうまく噛み合わない部分が出てきつつあるという思いと、既に官公庁を始め、交通、運輸、医療など多くの場面で24時間制が実施されているという背景がある。
このようなコンセプトの下、同社にて特別に製造されている時計であるので、他の会社やメーカーで製造されているかは定かでないほどの稀な代物であるそうだ。
しかも、この時計、よく見ると『竜頭(※)』まで無い。
正確に言うと、竜頭は見えない所に隠れているのであるが、この部分からは、『時間を合わせる必要が無い』という、時間の精度に対する自信の表れのようなものを感じ取る事ができる。
但し、この時計にもデメリットが無いわけではない。
恐らく、この時計の写真を見た段階で、そのように思われた方もいるかと思うが、文字盤に記された数字の量が、密集している為、人によっては『見辛い』と感じてしまうようだ……。
ようやく、お目当ての『24時間時計・完全体』に辿り着く事ができ、投稿者にも胸を張って紹介する事ができる!
肩の荷も降りたので、今夜はゆっくりとワールドカップの試合を楽しめそうだ!
(※執筆当時は準決勝戦前)
えっと〜、今夜の試合は…
27時30分〜 スペインvsドイツ |
27時30分といったら……
えっと、午前3時30分か。
……って何じゃ、この表記は!?(汗)