読者から寄せられた『噂』をもとに、調査隊長・ガノが真相解明!
今回は『鶴の目撃情報』に関する噂を調査!
●蓑原町のモナコパレス周辺を車で走らせていると、ある民家の庭に、たくさんの鶴が舞い降りていたのでビックリ!! 一体なぜ!?(ちゅり/32歳) |
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鶴──日本で姿を見ることができる代表的なものは、北海道の釧路湿原とその周辺に『留鳥』として生息している『タンチョウ』。
また、お隣り鹿児島県の出水市は、冬の時季に『渡り鳥』としてやってくる、『ナベヅル』、『マナヅル』の渡来地となっており、毎年1万羽の鶴が越冬する事で知られる。
さて、蓑原町のとある民家で目撃された『鶴』であるが、上記で述べた内容から推測すると、まず都城市で野生のタンチョウが生息している可能性はない……。
となると、鹿児島県出水市にやってくるはずの鶴が、間違って都城市に渡来してきたとも考えられなくはないが、GPS機能が搭載されているかのように、正確な位置が本能で分かる渡り鳥が、そんなミスをするとは到底思えない。
ペットとして飼っている!?……いや、天然記念物なのでそれは無いはずだ。
……まさか、恩返しに来ているのではあるまいな……
鶴の生態を踏まえた上で結論を言わせてもらうと、都城市で鶴を目撃したという情報は、『一般的』には考えられない……。
しかしだ──。
宮城県では、オーストラリアに生息する『カンガルー』の目撃情報が多発しているというニュースで持ちきりになっているじゃないか!
つまり、『時事的』に言えば、あり得ない話でもない!!
早速、目撃情報のあった蓑原町・モナコパレス付近へ訪れ、調査を開始──。
2分も調査しただろうか……、目を疑うような光景が広がる1軒の家が姿を現した。
「つッ、つッ、ツルだ!!」
噂の通り、間違いなく、たくさんの鶴が舞い降りている。
まさか、都城にて鶴を観測できるとは思いもしなかった!! 鶴が逃げ出さないように、そっと近づいてみるか…。
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!?
これが追い求めた鶴の真相だ……(汗)。
そうか、全て作り物だったのか…。
これらの鶴は、家主である尻枝憲明さん(63)による作品。大の鶴好きが高じ、約45年程前に第1号となる鶴を作成して以来、現在までに60匹以上作り続けているのだ。
しかもこの庭園、よく見てみると、鶴だけでなく、『トキ』や『オナガドリ』の姿まである。
それにしても作り物の鶴とはいえ、遠くから観ると、その生き生きした姿はまさしく本物さながら。さぞかし、長年に渡り多くの鶴を観測し、様々な仕草を研究してきたのであろう。
しかしながら、憲明さんの口からは、驚くべき言葉が発せられた。
「実は野生の鶴が戯れる姿というのは、一度も見た事が無いんです。それは鶴好きの私にとって、一番残念な事でもあるんです。
ですが、どうしてもその光景を楽しみたいという気持ちが強く、それならばと、我が家の庭に再現する事を誓ったのです。
図書館で鶴に関する写真集や資料を沢山見て、自然体でイキイキと見える鶴の姿や動作を覚えました。そして、頭にイメージした鶴の姿を形にする為に、セメントを素材に選び、傷みに強く、台風などの強風にも耐えうる、鶴を完成させたのです。
ここまで来るのに長年かかりましたが、その甲斐あって、我が家にいながら、大勢の鶴達が一年中戯れる姿を眺める事が出来るので、とても幸せですね!」
蓑原町に舞い降りた鶴の正体──。
それは、長年鶴を愛して止まない男の浪漫の結晶であった──。