来年開催される第65回国民体育大会「ゆめ半島千葉国体」において、『ビリヤード』がデモンストレーション行事として認定。これを受け、今年の8月29日(土)〜30日(日)に、『第8回アマチュアビリヤード都道府県選手権大会』が千葉県にて開催される。
この大会に宮崎県からは、都城市出身の岩元修一さん(31)と、三股町出身の江夏ゆかりさん(30)が出場することとなった。
2人の行きつけのビリヤード場は立野町にある『LONGSHOT』。共にオープン当時から10年来のお客様でもあり、ビリヤード歴も同じく10年になる。
そんな2人に、お店のオーナーより、今大会へ「参加してみない?」との声がかかり、出場を決意。
それまで、『大会』と名の付くものに参加したことが無かった2人は、普段とは全く異なる予選会場の雰囲気や張りつめた空気をひしひしと感じるものの、全く物怖じすることなく、初出場で全国への挑戦権獲得という快挙を達成した。
岩元さんの普段の顔は『パチンコ店店員』。仕事上、終業時間が遅いため、深夜0時からお店に現れ、営業時間終了まで練習をする。
江夏さんの普段の顔は『保育士』。仕事が終わると、一旦家に戻り、明日の支度など全て終えた後にお店を訪れ、21時〜23時くらいまで練習している。
二人ともビリヤードをすることが日課となっているのだ。これを10年間続けてきたとなると、その練習量は計り知れない。
では、ここまで2人を虜にするビリヤードの魅力とは一体何なのか?
このように質問してみると、江夏さんは即答でこう答える。
「男の人に勝てるから」
男女問わず楽しめる、ビリヤードのゲーム性を表した、実に分かりやすい表現だ。
ビリヤードは男女比較しても、女性がハンディを背負うような部分は殆ど見当たらず、むしろ男女では上達の仕方や、得意な球筋が異なるといった傾向もあるようで、性別による長所を活かした戦いを繰り広げる事も可能だ。
しかし、競技人口は圧倒的に男性が多く、大会にエントリーする女性は少数というのが現状。今回の県予選でも参加者の殆どが男性であったが、『男の人に勝って』好成績を収め、代表権を獲得したのである。
岩元さんがビリヤードに感じる魅力は『緊張を遊ぶ』ところにあるという。
小さな球同士を、入射角・反射角を計算してぶつけ合い、小さなポケットに入れる。長年の練習により身に付けた角度を調整する感覚は精巧を極めるが、これがいざ対戦となると、その機能に微妙な狂いが生じる時がある…。
対戦形式のゲームでは『ナインボール(※)』というゲームが主流で行われるのだが、上級者レベルになると、相手に一度もプレイさせる事無く、ゲームを終了させる事ができる。つまり、たった1回のミスが致命傷になるシビアなゲームなのだ。
そのミスを誘発するのが『緊張』であり、これを醍醐味として楽しみながらプレイしているところに、彼の強さを垣間見ることが出来る。
インタビュー中は、常にクールな表情で回答する岩元さん、それとは対極に、常に陽気に回答する江夏さん。異なるキャラクターを持ちながらも、年齢やキャリアはほぼ同じで、更に宮崎出身、LONGSHOTの常連と共通点も多い。そんな2人は、都城に登場した『ビリヤード界のスター』として、充分すぎる素質を備えていると感じた。
2ヶ月後に迫った本大会での活躍を願うばかりでなく、都城〜宮崎県のビリヤード界を大いに賑わせてほしい。(ガノ)
今年は10月17日〜20日にかけて、第22回全国スポーツ・レクリエーション祭『スポレクみやざき2009』が開催される。
この祭典内で、17日〜18日に、近年では一番大きなビリヤードの大会も行われ、全国の猛者が宮崎に集う。
県内では滅多にお目にかかれないビッグイベントだけに、腕に自信のある方は、是非大会へエントリーし、タイトル獲得に挑戦してほしい。
そしてこれは、凄腕ハスラー達の妙技を、間近に見れる数少ないチャンスでもあり、ビリヤードの魅力や神髄を充分に感じ取る事ができるはずだ。なかなか見る機会の無い、ビリヤードの真剣勝負の世界を、存分に味わって頂きたい。