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特集「もうひとつのゴールデンゴールズ」

 「当日は、一生懸命な姿を多くの人に見て頂き、我々の事を沢山の人に知ってもらいたい。」

 

 遠くを見つめる視線で、そう語るのは、社会人硬式野球チーム『宮崎ゴールデンゴールズ』の監督兼選手・菊池正敏氏。

 

 ゴールデンゴールズ(以降、GG)と言えば、茨城GGの監督を務める『欽ちゃん』こと萩本欽一氏が頭に思い浮かぶ。

 タレントが監督を務める球団という事から、メディアにも多数取り上げられ、当初から話題性の大きい球団であった。その後、チームには多くのスポンサーも付き、海外遠征や興行試合を行うなど、社会人野球チームでは例を見ない程の成功を収めている。

 

 その姉妹球団であるのが宮崎GG。

 『ゴールデンゴールズ』という名前の球団であるが故、茨城GG同様の華やかなイメージが付きまとう。

 事の発端は約4年前。茨城GGが日向でキャンプを行った際、宮崎県選抜チームと対戦を行った。

 その試合後、宮崎には硬式ボールを使用した社会人チームが存在しないので、プレーしたくても出来ないという声を聞いた欽ちゃんは、皆の要望を叶えるべく、「宮崎に姉妹チームを作ろう!!」と立ち上がったのだ。これが、宮崎GG誕生の瞬間である。

 その後、欽ちゃんも見守る中、セレクション(入団テスト)が行われ、60人ものメンバーが入団。2005年1月には社会人野球連盟に加盟と、順調に進んでいった。

 

 しかし、ここから先は茨城GGとは違った。

 

特集「もうひとつのゴールデンゴールズ」 宮崎GGには、皆が思い描いていたような華やかな道は用意されていなかったのである。

 宮崎で集まったメンバーで、チームを運営し、外部からのサポートは一切無しという現実が待っていた。

 野球用具の買い揃え、練習場の確保、資金の調達等も全て自分達で行わなければならない。

 資金に関しては、部費を徴収する事で賄っているが、練習場の確保に至っては、決まった場所が無い為、県内を探し回りながら活動している。それに加え、メンバーは県内各地及び県外からも参加しており、なおかつ仕事や家庭を持っている為、練習に参加することも困難な状況にある。

 

 集まったメンバーの中には、GGのメンバーになれるという事で、華やかな野球人生を夢見ていた者も当然いる。しかし、この受け入れがたい現実から、次第に足が遠のき、現在ではメンバー数も約30人と、当初の半分程になってしまった。

 

 このような状況のチーム監督に、1年前より就任した菊池氏には、大変な苦労が伴った。

 メンバーの職業や年齢、個性、目的など、全てがバラバラで、なおかつ練習メンバーも集まらない…。このまとまりの無いチームをどうやって運営していけばよいのか頭を悩ませた。

 

 だが、ここに集まったメンバー全員に共通している事は『野球が好き』という気持ち。

 

 そこで、練習が終わった後に、「今日の野球は楽しかった」と思えるような活動をしていきたいと考え、練習法や環境を一新。また、自分も監督ではなく『兄貴』的な存在でいる事で、メンバーとの距離を縮めるよう試みた。

 新規募集メンバーに関しても、以前のようなセレクションは行わず、『野球が好き』という気持ちがあれば年齢問わず受け入れている。

 

 取材当日の練習風景からは、以前の話が嘘のような、しっかりとまとまった、明るいチームがそこにはあった。幾つもの悔しさや困難に立ち向かい、それを乗り越えてきたチームだけに、メンバーの結束力も固い。

 

 その宮崎GGが11月9日(日)に都城運動公園野球場にて、定岡正二氏率いるチーム『薩摩』と交流戦を行う。

 このイベントは『子供が夢と希望を持ち、その実現に向かって行う努力を支援する』という目的で設立された『都城市こども基金』活用によるもの。

 そこで、交流戦だけに留まらず、宮崎GGと薩摩のメンバーを交えた小中学生対象の『野球教室』も開催される。

 また、試合前には女性デュオ『スピリットのミニライブ』、試合中には松村邦洋氏&大森うたえもん氏による『オモシロ実況』も展開されるなど、エンターテイメント性に富んだイベントになりそうだ!!

 

 そんな見どころの多い交流戦だが、中でも、宮崎GGメンバーの『一生懸命な姿』に注目し、その光景を目に焼き付けて欲しい。

 アマチュア球団でありながら、興行試合を行える立場にある事を、幸せに感じている菊池監督。

 「私達が出来ることは、一生懸命な姿を見せる事。そこから、『野球に対する夢と希望』、『野球の楽しさ』、そして『宮崎GGの存在意義』を感じ取って欲しい。当日は精一杯頑張りますので、皆さん、ぜひ応援宜しくお願いします。」

 

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