読者から寄せられた都城の『噂』をもとに、調査隊長・ガノが真相解明!
今回は『伝承』に関する噂を調査!
●高城町の香禅寺に行く途中に池があります。子供の頃、『ここはカッパが出る底なし沼』と聞いていました。本当に底なし沼なの?(あおきさやかのそっくりさん/30歳) |
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この噂を調査すべく、香禅寺へと向かったガノ。今回の調査には、新人助手・エタンを引き連れ、沼探索を開始した。
約40分程探したであろうか……。助手席から体を乗り出しながら探していたエタンより、「隊長! 沼らしきものを発見致しました!」……との報告が入った!
早速、車を降り沼を目の当たりにする2人…。
だが、その光景には、ただ絶句するばかりであった…。
……「なっ、何て怪しすぎる 場所なんだ!」
「何なんだ、この異様な雰囲気は!? 妖気 か!?」
水面のいたる所から、ブクブクと気泡が出てきており、底は泥沼の為、真っ暗で何も見えない。
そして、誰もが近づく事を拒むかの如く、険しい地形と雑草が行く手を阻む…。
(これでは、近づく事すらままならないので、底なしかどうか確かめようもない…)
……そう考えていた時、「ビュン!」という音と共に、1m程の木の枝が水面へと放り込まれた。
(エタン)「……沈まないですねぇ……」
当たり前だ! 沈むわけないだろ!
大体、よく見てみりゃ、それよりも大きな大木ですら浮いてるじゃないか!
結局の所、沼の調査は出来なかったのだが……結論から言いましょう……。
『底なし沼というものはこの世に存在致しません!』
いやねぇ、ミステリー好きな私としては、『底なし沼』というものが在った方が、ドキドキするから、存在してほしかったんですがね、……どう考えても……そして調べれば調べるほど、『理論的に有り得ない』という結論に達してしまいました…(泣)。
底なし沼の定義に関しては様々なものがあるが、一般的に『深さが2m以上ある泥沼』の事を指すようだ。
そして、『泥沼』の特徴として、『もがけばもがく程、沈んでいく…』という性質がある。
つまり……
●うっかり泥沼にハマってしまい、脱出しようと慌ててもがくが、足がドンドン沈んで行く
↓
●気が付いたら腰の辺りまで沈んでしまっている……
↓
●「この沼には底が無いんじゃないだろうか…」と不安がよぎる…
…とまぁ、このような状況や心理が作用して、『底なし沼』という謂われが出来たものだと思われる。
だが、『もがく程、沈んでいく』という事は、『もがかずに、立ったまま』でいれば、沈んでいく心配は無いのだ!
しかし、脱出不可能という状況が変わるわけではないのだが……(汗)。
それと、この噂に出ていた『河童』の存在。
一応、念の為に聞き込み調査をしてみたが、そんな話は聞いた事がないというものばかりであった。
また、昔の文献や都城の河童伝説等の書籍も調べてみたが、やはりこの地(沼)に存在したという資料は見つからなかった。
いやねぇ、こうなる事は何となく分かっていたんですけどね……でも、水木しげるの妖怪マニアとしては、いてほしかったんですよ!(涙)
結局、あらゆる分析をした結果、この河童伝説というのは、自分なりの解釈として、次のような意味合いがあったのではないかと思われる。
噂の内容からも分かる通り、噂の送り主は、この言い伝えを子供の頃に聞いている。
そして、今回の調査で私がこの沼に対して思ったのは…
「何て危険な場所なんだ!」
「大人の俺でも、足がすくんでしまうぜ…」
「ここには自分に子供がいたら、絶対に近寄らせたくない!」
……というものである。
つまり、この沼地に子供達を近寄らせない為に、河童が出現するという恐ろしい言い伝えを話してきたのではないだろうか。
しかし、妖怪浪漫を追い求める大人としては、「あの水面に浮かんできたブクブクは、やはりカッパだったのではないか!?」と信じたい!
(エタン)「しかし、凄い数の亀がいましたね〜! ブクブクブク〜って」
(ガノ)「なっ、何かの間違いじゃないのかね…(汗)」
※この記事は紙面「きりしまフォーラム 2008年3月号」に掲載されたものです。