No.4
「どうしても」強い想いで実現
美味端麗Flower豆冨店 又木 洋人さん(43)
毎日楽しくて仕方がないんですよ―――とびきりの笑顔で、現在の仕事について話してくれたのは、Flower豆冨店(高城町桜並木通り/TEL:0986-58-5579)の店主、又木洋人さん。豆冨の「冨」は、豆が豊富な豆冨を作るという又木さんのこだわりだ。
これまで18年間飲食業を営んできたが、ずっと豆腐職人への夢を諦めきれなかったという。その夢の根底には、父親の存在があった。脱サラをして念願の豆腐店を開いた父親だったが、ようやく軌道に乗ってきた5年目に倒れてしまった。道半ばで店を閉めることになった父親の存在は、大きな影響を与えた。「毎日懸命に豆腐作りをする父の後ろ姿を見ていたので、残念でなりませんでした。それから、独学で作り始めたんです」と振り返る。
豆腐作りは、没頭するあまり、我を忘れることもしばしばという又木さん。「美味しい豆腐になるように…それだけを考えて作っています。豆腐は日によっても変わってくるし、生き物みたいですよ。にがりを打つ瞬間が、一番緊張しますね。納得いくものじゃないとお店には出しません」と豆腐への想いは深い。九州産大豆ふくゆたかを100%使用した豆冨は、豆本来の風味が存分に味わえる。
「飲食業を辞め、豆腐一本でやっていくと決めるには不安も多く、勇気が必要でした。しかし、周りの先輩方が背中を押してくれたおかげで、今こうして豆冨店を開いています。朝4時半に起きることも、全く苦じゃないですよ。何より、お客様に、こんな美味しい豆腐初めて食べたよと、何度も食べてもらえることが嬉しいんです」と目を細める。
「豆腐作りに喜びを感じる」と話す又木さんの豆腐は、今日も食べる人を笑顔にしている。(エタン)