ここではエタンセレクトの文庫本を中心にご紹介しています。
「なぜ、日本人は桜の下で酒を飲みたくなるのか?」 西岡 秀雄(PHP研究所)
皆さんは、今年もお花見をしましたか? 桜が咲き始めると、桜の木の下でご飯を食べたり、お酒を飲んだりするお花見の風景をよく見かけます。これって、日本人だけのようです。
何故、日本人が桜に心躍るのか、ついついお酒を飲みたくなるのか…。「サクラ」と「サケ」、どちらも「サ」の文字が付いています。この共通点、何でもないような気がしますが、実は、この「サ」が「桜の木の下で酒を飲みたくなる理由である。」と著者は言っています。
古代日本人は、山の神「サ神」を信仰していました。その証拠に、日本の地名や神社の名称に「サ」が付くものが多くみられます。ここまで聞くと、「サ」に魅力を感じてきませんか? ここから先は、読んで確認を! 桜とお酒が好きな方に、オススメの一冊です。
「きりこについて」 西 加奈子(角川書店)
少なからず、誰しもコンプレックスを持っている…と思います。人間中身よと言っていたって、やっぱり外見が気になることもあるはず。
この本の主人公きりこは、外見に多くの問題を抱えていました。しかし、パパもママも「かわいい」と言って育て、頭の良い黒猫ラムセス2世もきりこを絶賛。そのため、きりこは自分のことを、とっても可愛い女の子と思っていたのですが、初恋のこうた君に「ぶす」と言われ、ひどく落ち込みます。
自分の顔が「周りのかわいいの基準」と対極であると知ったきりこは、外に出られなくなり、猫とばかり会話をし、引きこもってばかり。そんなきりこが、ある予知夢をみるようになり…。
最後に、きりこが言う台詞がとても鮮やかで、印象に残っています。
「うちは、容れ物も、中身も込みで、うち、なんやな。」
これが、生きていく上でいちばん大切なことなのかもしれません。この春、自分のことを少しでも好きになりたいあなたへオススメです。
「ストーリーセラー2」 (新潮社)
忙しくて時間がないから読書できない! というあなたに、オススメの一冊です。
沢木耕太郎、伊坂幸太郎、有川浩、近藤史恵、佐藤友哉、本多孝好、米澤穂信の話題の作家7名によるアンソロジー第2弾。
オール読み切りで読みやすく、それでいて読み応えは十分にあります。「面白いお話、再び売ります。」と謳っているだけあって、全ての話が巧妙で読了後に唸ってしまうほど。
ちなみに私は、本多孝好の「日曜日のヤドカリ」がお気に入り。ほのぼのと、そしてちょっとだけ深刻に…家族の絆を描いた話です。
どこから読んでも楽しめるので、気になる作家から読んでみてください。きっと、好きな話が見つかるはず!