平成26年2月中旬、私のホームタウンである山田町にイノシシの家族が出没するとの情報を得た。噂によると、ウリ坊を連れた複数の家族連れが結構な頻度で出没するという。
イノシシといえば、助走なしに1m以上の垂直跳びが出来、最高速度45kmにも達する速さで走るかなりのアスリート。また同時に、その巨体を生かした突進力と強力な武器となる牙を持つファイターでもある。
そんなイノシシが本気で向かってきたらヤバイなと思いつつも、やっぱりウリ坊を見てみたいという好奇心が勝り、日課としている散歩の合間に捜索してみることに。
歩き慣れた散歩ルートを変更し、目撃情報のあったポイントを重点的に捜索すること3週間、なかなか見つけることが出来ない。
そもそもイノシシが出没するのは山田町だけなのか? そんな疑問を解消すべく、都城市役所に連絡をしてみた。
対応してくださったのは、農産園芸課の西田さん。西田さんによると鳥獣の種類によって担当部署が異なるらしく、農産園芸課はサル担当。イノシシは森林保全課になるとのこと(厳密には鳥獣の種類やその取扱いによって、より細かく担当部署が割り振られている)。
こちらの取材要請に快く応えて頂き、農産園芸課・西田さんと野見山さん、そして森林保全課・白石さんの3名から話を聞くことが出来た。
サルやイノシシに代表される野生鳥獣の人里での出没情報は全国的に多くあり、農作物への被害も深刻な状況が続いている。ちなみに、平成24年度の野生鳥獣による農作物等の被害額は、全国で約230億円。都城市に限ると年間約1620万円にのぼる。
鳥獣別にみると、イノシシが約750万円、シカが約530万円、サルが約230万円、その他の鳥獣が約110万円となっている。なお鳥獣別の被害地域は、イノシシが市内全域の山林に隣接する農地、シカは西岳、山之口、高城、高崎及び山田の一部で、特に西岳地区においては被害が深刻らしい。サルに関しては高城全域と山之口、高崎の一部で被害が出ている。取材当日もサルへの対策を講じるための話し合いがなされていた。
取材に応じてくださった市役所の方々の動物に対する思いやり、被害に困っている人々への思いを聞いていると、ウリ坊に会いたいという当初の目論見からは離れるが、そんなことより伝えるべきことがあると気づかされた。
鳥獣被害を減らすため、また有害鳥獣として処理される野生動物を減らすために我々が出来ることがある。それはエサを与えないこと。
興味本位で餌付けをしたり、食べかけを捨てたりすることで動物たちが人里に進出してくる。そうして人間と接する機会が多くなった動物たちは人間を恐れなくなり、被害が増えてしまうということだ。
本来愛くるしいはずのウリ坊や子ザルが人間にとって迷惑な存在にならないよう、我々人間もルールを守っていきたいものだ。 (雅)
【追記】
取材後、高城町の山道を通ってみると、すぐにサルの群れに出くわした。カメラに収めようと車から降りると素早く逃げていった。かわいい子ザルとふてぶてしい感じの親ザルを含め20匹程見かけた。
日向の噛み付きザルの例もあるので、サルやイノシシにはあまりむやみに近付かないほうが良さそうだ。