『えみりのお守り』───そう名前の付けられた花形のヘアピンが、募金箱と共に添えられている光景を見た事はないだろうか。
左の明るく元気な笑顔を振りまいている写真の女性───兒玉咲理(えみり)ちゃん(17)。
実は彼女、もう既にこの世にはいない───。
平成20年6月11日に『急性リンパ性白血病』を発症。1年2ヶ月の闘病の甲斐も空しく、翌年の平成21年8月13日に帰らぬ人となった。
だが、左の写真は、亡くなる3ヶ月位前に撮られたもの。白血病による長期の闘病生活、迫りくる死への恐怖など、様々な困難や不安に苛まれるであろう中、咲理ちゃんの表情はごく自然で、楽しそうな笑顔を浮かべている。
「咲理は、骨髄移植さえすれば治ると強く希望を持ち続け、将来の夢を楽しそうに話していました。しかし、二度の再発により病状は悪化……強い希望を持っていた咲理にその事実を伝える事はできませんでした」──と涙ながらに語る母の明代さん。
咲理ちゃんの死後、なかなか立ち直れずにいた明代さんであったが、娘が短いながらも精一杯生きた証を残したいと考えるようになり、その時、闘病生活の際に2人で作っていた『花形のヘアピン』の事を思い出す。
毛糸で編んだ花飾りをヘアピンにくっつけた物で、それは『えみりのお守り』と名付けられた。
「えみりのお守りは私と娘の思い出のいっぱい詰まった物で、これを作っていると、天国にいる咲理との繋がりを強く感じることが出来ます。この感覚が、私を立ち直らせるきっかけにもなりました。これから先も、咲理と共に生き、そして一緒に笑っていけるんだなと───。」
そして、えみりのお守りを大量に作った明代さんは、この力で、咲理ちゃんと同じ白血病で苦しむ人々や、病気で苦しむ子供達の助けが出来ないかと考える。そこで、設置協力をしてくれるお店を探しては、えみりのお守りと、その横に募金箱を置き、そこで集まったお金を『みやざき骨髄バンク推進連絡会議』及び『財団法人がんの子どもを守る会 のぞみ』へ寄付するという活動を始めたのである。
「この活動を始めてから、まだ1ヶ月程しか経っていないのですが、既に多くの募金が寄せられていたのには驚きました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです」と感動を隠しきれない表情で語る明代さん。
えみりのお守りには、大病を抱える多くの子供達が将来の夢を叶えられるように、一刻も早く元気になってほしいという願いが込められている。そこにはきっと、天国から笑顔で見守る、咲理ちゃんの願いも込められているはずだ。(ガノ)
現在、ちょこバナナ各店、ミルクハウス、都城観光協会に設置されている募金箱。お店や学校行事等、幅広く設置協力をお願いしているので、ご協力頂ける方は、是非ご連絡下さい。
連絡先:090-5020-6098(兒玉)