みなさんはSAPというグループをご存知でしょうか。SAPは昭和37年、宮崎県に誕生した若手農業者のグループ。その後、合併に伴い、旧都城市、旧山之口町、旧高城町、旧山田町、旧高崎町はひとつにまとめられ、都城市SAP会議となりました。その中でも、今回はフレッシュな女性メンバーがいると噂の(?)、山之口支部を取材しました。
現在、山之口支部の会員は男性6名、女性3名の計9名。営農形態は酪農、和牛・豚生産、露地野菜と様々で年齢は23〜31歳。高齢化が進む業界にあって、平均年齢26・5歳と実に若いメンバーで構成されています。
メンバーは日ごろから情報交換と会員同士の交流に努めると共に、地元のイベントやボランティア活動などにも積極的に参加。地域に根付いた活動を通し業界内外の人々との親睦を図っています。
数年前からはもち米を共同で生産。田植え、草取り、収穫、そして袋の詰め込みや販売までを自分たちで行っているほか、11月にはSAPの活動や農業の現状を知ってもらいたいと市長を表敬し、もち米を贈呈。12月には近隣の高齢者ボランティアの協力を仰ぎながら、地元保育園園児とお寺でもちつきをしました。
このもちつきは、「子どもたちに農業の楽しさを感じてもらいたい」「伝統文化を伝えたい」という思いで4年前から続けている活動で、園児たちにとっても楽しみな季節行事のひとつとなっているようです。
これらの活動はメンバー同士が打ち解けるきっかけともなり、「家で黙々と作業することが多い中、皆で集まって活動することが楽しく、刺激にもなる」とメンバーは口を揃えます。
さてここで、気になる女性メンバーを紹介。酪農家の田中あゆみさん(23)は、小さい頃から家業に慣れ親しみ、大学卒業後、自然な形で酪農の道へすすみました。現在、県SAP女子部副部長を務めています。そして下玉利愛さん(24)は、苗の栽培から収穫までのいちごハウス栽培を一人で手掛けています。一般企業にて就業中、休日に実家を手伝い、やり甲斐を感じたことが現在の仕事につながりました。また、松元みどりさん(27)は福岡県で就職後、Uターン。実家の手伝いをしていく中で農業の楽しさや収穫の喜びを知り、「種から育ててみたい」と現在は玉ねぎなどの露地野菜の生産を手掛けています。
農業という、大変な仕事をされているにもかかわらず、彼女たち3人はとっても明るく和やか。「農業の担い手? そんな立派なものでは…」と田中さん。確かに、就農とか自給率とか、そんな重々しい言葉がふさわしくないほど彼女たちは華やかで楽しそう。若い感覚で、いわばやりたいことを仕事にしている、という印象を受けました。これからの農業、こうした気持ちが大切なのかもしれません。
その一方で、アツい気持ちも持っています。「親を助けたい、という気持ちがあります。経営を改善し、様々なことに取り組んでいきたい(田中)」。「色々工夫をして、皆さんにおいしいと言ってもらえるいちごを作りたい(下玉利)」「今は親に教えてもらいながらですが、いつか自分のスタイルを確立したい(松元)」とそれぞれヤル気と希望に満ち、目標を持って毎日がんばっている様子。
印象的だったのは「天候などに左右されることもあるが、農業は自分たちが努力した分だけ返ってくる魅力的な仕事」と口々に話していたことです。
SAPのメンバーたちのような、柔軟な発想と若い力が今後の日本の農業を支えていくのでしょう。そして、私たち消費者側が今まで以上に地元農業に関心を持つことが若手農業者たちの励みになるのではないかと感じました。(順)
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