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ヤスが行く職業体験記

ピーマン農家編

今回の職業体験は、宮崎県が生産量2位を誇る野菜、「ピーマン」を作る農家さんに行ってきた。庄内町でピーマンを栽培している山田美香さんご協力のもと、ピーマンの収穫にチャレンジ!

ヤスが行く職業体験記 【ピーマン農家編】 写真1
ビニールハウスの中は一面背丈が180cmほどのピーマンの苗。中に入ると同時にモワっとする空気が流れてくる。この時期にビニールハウスと聞いて覚悟はしていたものの、普段から汗っかきな私には、これは大変な作業になるということを瞬時に理解した。聞いたところ夏本番になると気温が40度近くまで上がることもあるのだとか。その代わりに冬は半そででちょうど良く、快適だそうだ。このビニールハウスで育てられているピーマンは、都城で作られた「都グリーン」と呼ばれる品種で、ほとんど県外に出荷してしまうので、都城では限られたところでのみ販売されている。日焼けしてしまう等、弱みもあるが、とても育てやすい品種だ。1月に種を植え、収穫出来るのは3月から11月迄。ビニールハウスのおかげでかなりの期間、収穫出来る。

ヤスが行く職業体験記 【ピーマン農家編】 写真2
早速剪定バサミを借りて、ピーマンの収穫作業を開始! 小ぶりのピーマンからハサミで収穫していく。籠に入れる際に他のピーマンを傷つけてしまう可能性があるので、ヘタのギリギリのところで落とすようにする。枝の上から下までピーマンがなっているので立ったりしゃがんだりしながら収穫していくのだが、これがなかなかキツイ。下の方が葉っぱが少ないのでしゃがんでいる方が涼しいと教わり、時々しゃがんで涼みながら採っていく。ここで大きな問題が。ピーマンの色も、葉っぱの色も緑なので、なかなか見分けがつかないのだ。そのせいで見落としてしまうこともしばしば。しかし、ちょうど良い時期にピーマンを収穫しないと、次にその列を収穫するのは1~2週間後。その時には熟れ過ぎてしまっていて商品としては出荷出来なくなってしまう。そのため、責任は重大だ。見落としがない様にじっくりと見ながらピーマンを採っていく。今回カメラマンを担当したフミに採り残しがあれば教えてもらいながら作業を進めていく。すぐそばで作業をしている山田さんを見てみると、ピーマンを一個採る動作の中で枝を2本も切っている。その手さばきはちょっと感動してしまうほどだ。ピーマンを採っていると、所々黒くなってしまっているピーマンを発見! これは、陽に当たり過ぎて水分が行き渡らなくなった際に起こる日焼けという現象。日焼けした部分を取り除けば食べられるのだが、こうなってしまうと出荷出来ないそうだ。せっかく大きく実ったピーマンなのにと残念に思いながらも他のピーマンとは分けて収穫する。その他にも熟れすぎたもの、虫に食われたものも分けて収穫していく。

作業の途中で、採れ立てのピーマンを生で食べさせて頂いた。テレビ等で、採れ立ての野菜を何も付けずに食べ、甘いとか美味しいとかコメントするシーンを見て、常々疑問に思っていた。「本当に普段食べている野菜よりも採れ立ての物の方が美味しいのだろうか」。まずは、緑色のピーマンから。全然苦くなく、むしろちょっと甘い位だ。普段は、湯通ししないと渋いピーマンとは全然違う。次に熟れて赤くなってしまったピーマンも食べてみた。これがなんとフルーティで甘い! これが食卓に並べば、ピーマンが嫌いな子どももいなくなるはず。しかし、熟れているピーマンは、日持ちがしないので出荷されることはないのだという。

疑問が一つ解けたところでまた収穫作業に戻る。暑さと屈伸の動作が段々と辛くなってきた。ここで外は土砂降りの雨に。そのおかげで、入ってくる空気が涼しくなり、少しクールダウン。まさに恵みの雨! そこから収穫を続け最終的に籠2つ分、計20kgほど収穫した。最初は見落としもあり、フミに「ここにもあるよ!」と言われていたのだが、最後の方は見落としもほとんどなくなり、なんとか熟れすぎたピーマンを出さず、一番旬のピーマンを収穫することが出来た。ここから選別になるのだが、今回はここで体験終了。ピーマンを出荷する時には手作業で大きさや形等を見ながらA級、B級と分けるそうだ。

収穫されず熟れすぎたピーマンは、商品として使いものにならなくなってしまう。タイミングを間違うと、どれだけ立派に育っていようが商品としては出せない。しかしキチンとしたタイミングならば立派な商品となる。これはどんなことにも置き換えられる気がする。するべきことをするべきタイミングでする。それで得られるものは、私なら、営業で広告が取れるかもしれないし、日々入ってくる情報から良い記事が書けるかもしれない。タイミングを大事にしたいと思った体験だった。

ヤスが行く職業体験記 【ピーマン農家編】 写真3

■取材協力/
取材協力/山田美香さん
「きりしまフォーラム2016年8月号」掲載

休日急患